一方で、「もう少し様子を見れば、きっと自然にできるんじゃないか」と、まだどこか楽観的な気持ちも正直残っていたと思います。
そんなある日、妻からこんな言葉がありました。
「一度、病院で検査してみない?」
「不妊治療って、どう思う?」
その言葉を聞いたとき、驚きというより「原因が分かるなら、一歩でも半歩でも前に進めるきっかけになれば」という気持ちのほうが強かったように思います。
だからこそ、妻からの提案を自然に受け止めることができました。
僕自身、不妊治療についての知識はほとんどありませんでした。
ただ、「不妊の原因は男性にもある」ということは何となく理解していたので、病院へ行くことに対して大きな抵抗はありませんでした。
もちろん、自分の身体に問題があるかもしれない、あるいは僕たち夫婦は子どもを授かれない可能性もある――そんな現実を突き付けられる不安がなかったわけではありません。
それでも、妻の落ち込んでいる姿を見続けることや、ずっとモヤモヤした状態のまま時間が過ぎていくことのほうが、僕にとってはつらかったのだと思います。
振り返ってみると、僕の中で大きかったのは「何も分からないまま待ち続ける」ことへのストレスだったのだと思います。
妊活を始めたばかりの頃は、期待や希望が勝っていたので「次はうまくいくかも」と思えました。
けれど数ヶ月が過ぎると、その思いは少しずつ「本当に大丈夫なのか?」という不安に変わっていきます。
そうした気持ちを引きずりながら日常を過ごすのは、意外と心に負担がかかるものです。
だからこそ、妻の提案はむしろ救いのように感じました。
「原因を知る」ことが、僕たちにとって前に進むための大きな意味を持つのだと気づいたのです。
こうして僕たちの妊活は、“自然に任せる”段階から、“医療の力を借りて向き合う”段階へと進んでいきます。
病院に行ったからといって、すぐに結果が出るわけではありません。
でも「検査を受ける」という事実が、不思議と安心感をもたらしてくれました。
「もう次の一歩を踏み出せる」という実感が、焦りや不安を少し和らげてくれたのだと思います。
そしてここから、検査、治療の流れや自分たちの課題、そして心の持ちようなど、いろいろなことが少しずつ見えてくるようになりました。
今振り返れば、病院に行くかどうかを迷っていた頃が一番しんどかったのかもしれません。
病院デビューのタイミングに正解はありません。
半年で決断する夫婦もいれば、1年、2年と待つ夫婦もいる。
大切なのは「不安を抱えたまま時間を過ごすのではなく、二人で納得して動き出せるかどうか」だと思います。
僕たちの場合は、妻の言葉が背中を押してくれました。
その一言がなければ、僕はきっとまだ「もう少し様子を見よう」と言い続けていたかもしれません。
あのとき素直に受け止められたことは、自分にとっても大きな転機だったと感じています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。