見知らぬ同士の間にある壁 | WEBエンジニア社長のブログ

見知らぬ同士の間にある壁

日本人同士の間には心地よい距離、心的な壁を知っている、ような気がする。
特に見知らぬもの同士の関係を見るとわかりやすい。電車で隣同士になっても会話をすることはほとんど無い。挨拶すらしないことがほとんどだろう。挨拶くらいしたほうが良さそうだとも思っても、それでも何もしないほうが気楽なのである。
気楽な関係だがそれが裏目に出る場合がある。相手が困っているときに「サッ」と助けられないのだ。助けた方がいいが、行動におこそうかどうしようかと迷っているうちに、時間が過ぎ、タイミングを逃してしまい、結局助けられないのだ。心では助けてあげたいと思っていても。そのような経験はないだろうか。


ちなみに、私はよく、指定席で隣り合わせになる人に「こんにちは」と挨拶する。すると相手は少し驚いた表情を見せ、挨拶を返してくる。驚くのは予期せず挨拶されたからだ。でもその後は、特に長々と世間話をするわけではない、その後二度と話す事も無い。が、二人の関係はなんとなく和む、ような気がする。


一方、中国人同士にも心地よい関係というものがある。
中国人を見ていると、レストランに入ると給仕の人とフレンドリーに世間話をする。タクシーでもどちらからともなく運転手と話しながら目的地まで行く。聞くとこれが普通らしい。
中国人同士の壁が日本人同士のそれと比べて低いのだ。


昨日、出張のため成田エクスプレスに乗って成田空港へ行った。その途中の出来事である。
私の座席は車両の一番前だったが、後ろ向きに走っていたため、背中に車両と車両の間にある荷物置き場があった。前の座席の女性が荷物置を見に行き戻ってきて、他の女性に「空いていない、置けない」といったことを話した。見ると大きなスーツケースを座席の前から通路に移動して、手で支えていた。
私は荷物を置けずに困っているのだなと思って、荷物置き場を見ると二段目の棚が空いている。どうやらスーツケースを持ち上げてのせることができないらしい。私は手助けするべきか少し躊躇した。言われればやるが、言われなければこちらからなかなか切り出しにくい。かといってせっかくの旅行で飛行機に乗る前に、1時間もスーツケースを支えて、時々通る人を気にして過ごすのはいいものではないだろう。そういったことを考えていたらフト気づいた。「あっ、自分でこの人達との間に壁を作っている。今はの壁は無い方がお互いにとっていいんじゃないか。」と。
そして私から声をかけ、スーツケースを棚に上げた。

もちろんその時以外会話は無い。これが気楽で心地よいと思うのは私だけだろうか。