テーブルには、渋いデザインのTシャツが無造作に並ぶ。“横っ腹”がざっくり切り取られ、羽咋に伝わる和風ちりめんが縫い合わせてある。伝統織物と普段着のTシャツという大胆な組み合わせが、若者や外国人にウケているのだとか。

「売っているお店は2店だけですけどね」。“和”にこだわったファッションブランド「DECO―T」の製造元「ヒロ」(金沢市)社長兼デザイナー、大沼洋美(35)の課題は、販路開拓だ。

 昨年4月、祖父の代から70年以上続く老舗縫製会社「リドー」から子会社の「ヒロ」を独立させ、アパレル業に衣替えした。薄手の布の縫製に高い技術を持つリドーは、神戸の大手アパレル会社からの注文を一手に引き受ける賃加工。ただ、その自慢の技術をもってしても、中国の安価な労働力を相手に苦戦を強いられている。

 「じゃあ、自分で作って、自分で売ろう」と自販にかじを切ったが、現実は甘くなかった。店に商品を置いてもらえないのだ。「仕入れルートは完成していて、つけ入るスキがなかった」。注文通りに作ったことしかない企業に待ち受けていた、高い壁だった。

 できるのは「足を使うこと」だけ。数え切れないほどの店を回り、犬の服や雑貨など、要望があれば即製造、即納品。「まず信頼してもらうことでした」。その結果が、今の2店だ。

 「正直、この事業でリドーを救うのは難しい」。大沼は現実を認めながらも、「デザインだけは自信がある。私が作った風呂敷型エコバッグは、フランスのデザイナーも気に入ってくれたんですよ」。大事なのは、自信を持ち続けること。そうすれば、「足を使う分だけ人の輪が広がって、道は開けて行く」と考えている。(敬称略)
$メイドイン金沢のHIROのお洋服は貴重品

HIROも御陰様で少しづつ成長しましたね~