宮崎県北部の延岡市で親しまれている曲で、延岡人は小学生でも踊れる「ばんば踊り」をピアノソロアレンジしてみました。

 

 

踊りで使用される音源は、演歌歌手の村田英雄に歌わせ、1962年に日本コロムビアより発売されたレコードです。
企画:折小野 良一(当時の延岡市長)
作詞/採譜/補作曲:並岡 龍司(延岡出身の作曲家)
編曲:松尾 健司
◆ばんば踊り 村田英雄

 

これは昭和37(1962)年に誕生した「新ばんば」です。新しい時代の盆踊りとして、延岡伝統の「ばんば踊り」の節を基本に作曲された新民謡で、日本フォークダンス連盟の指導により振付されたものです。地方色を盛り込み、誰でも楽しめる歌詞にし、全ての市民が踊れるように、という願いが込められて作られました。今では「ばんば踊り」といえば「新ばんば踊り」を指すほど定着しています。

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◆歌詞の語句説明

【1番 伝統都市延岡】
鐘が鳴る鳴る=城山の鐘は、毎日6時、8時、10時、正午、15時、17時の6回、延岡市民に時を知らせています。

城山=延岡城跡で、今は城山公園となっています。

あれは300年=城山の鐘は、明暦2(1656)年、時の領主、有馬康純が蓬莱山八幡宮(現今山八幡宮。城山から北東に800mぐらいにある神社)に寄進(寺社に自ら金品を寄付すること)したものです。この初代の鐘が時を告げ始めたのが明治11(1878)年からです。「300年間ずっと時打つ鐘」、ではなく、正確には以下の通りです。
「2023年現在、城山の鐘は367年前からあるが、時打つのは145年間。さらに、初代の鐘は明治11年から昭和37年までの84年間、市民からの浄財によって作られた2代目の鐘は昭和38年2月11日以来、現在まで60年間、時を告げ続けています。」

歌人牧水=宮崎県日向市出身の、戦前日本の歌人、若山牧水(1885年~1928年)です。

名歌を残す=城山公園内に「なつかしき城山の鐘鳴り出でぬ幼かりし日聞きし如くに」という歌碑があります。この歌は若山牧水が、昭和2(1927)年7月24日に台雲寺で詠んだもので、昭和10(1935)年に歌碑が建立されました。

延岡七万石城下町=体積の単位としての一石は約180リットル。70000石は1260万リットル。米の量の単位としての一石は約150kg。70000石は1050万kg(10500トン)。つまり、七万人の家来のめんどうをみることができる延岡城を中心として成立した町。


【2番 水都延岡】
五ヶ瀬=宮崎県延岡市から日向灘に注ぐ一級河川の五ヶ瀬川。

大瀬=五ヶ瀬川の下流で2股に分かれ、大きい方が大瀬川。日向灘に注ぐ。

祝子(ほうり)、北川=北のほうの2つの祝子川、北川。

やなの群れ鮎=やなとは梁漁(やなりょう)のことで、川の中に足場を組み、木や竹ですのこ状の台を作った梁(やな)を設置し、上流から泳いできた魚がかかるのを待つ漁法。鮎やな漁は、産卵のために川を下る鮎の習性を利用し、竹で組んだ落て簀(おてす)に誘いこむ伝統漁法です。300年以上続く延岡水郷鮎やなは延岡に秋を告げる風物詩となっています。

やなでは鮎の河原焼き=河原で焼く鮎の芳ばしい香りは、環境省認定の「かおり風景百選」にも選ばれた、延岡観光の目玉の一つ。


【3番 工都延岡】
愛宕山=延岡市街地南部にある、標高251mの山。

東や大灘=日向灘。

西や山脈=日之影、高千穂方面の山脈。

南田畑の=現在では住宅が多く建っていますが、航空写真で見れば南には田畑が広がるのがわかります。

北は六つのマンモス工場=2022年で創業100周年を迎えた(1922年創業)旭化成株式会社の工場群。火薬工場・レーヨン工場・ベンベルグ工場・食品工場・薬品工場・雷管工場。高さ180mの赤白巨大煙突は延岡市のシンボルとして親しまれています。有名なのはサランラップ、ジップロック、高級裏地素材「ベンベルグ(キュプラ)」ですね。

日向ぼけ=宮崎県民の県民性を表す言葉として有名な言葉。温暖な気候で、土地も豊かだったため、あくせく働かずとも豊富な食べ物が手に入るので、おっとりした性格。また、方言「よだきい」に代表されるように、何事も「億劫」で「面倒」くさがるのが特徴。辛抱強さもないので、常に「なんとかなるさ」と考える、楽天的な人が多い。

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1.鐘が鳴る鳴る城山の鐘が
(ンヤーコラセ)
あれは三百年時打つ鐘よ
町の歴史をひそめて響く
歌人牧水おさない頃の
心いとしみ名歌を残す
(ヤートセーサートセ
延岡七万石 城下町
昔をしのぶ お城山
鐘の音聞きに来ならんけ
ホラ ヨーイトコセー)

2.空の蒼さよ水澄む郷よ
(ンヤーコラセ)
五ヶ瀬 大瀬の二つの川は
町を横切りて港へそそぐ
祝子北川風情をそえる
やなの群れ鮎しぶきを上げる
(ヤートセーサートセ
川には川舟 屋形舟
やなでは鮎の河原焼き
川風うけて したり顔
ホラ ヨーイトコセー)

3.愛宕山から四方を見れば
(ンヤーコラセ)
東や大灘西や山脈よ
南田畑の織りなす綾目
北は六つのマンモス工場
工都延岡 豊かに生きる
(ヤートセーサートセ
日向に来たときゃ 寄って見ね
陽気がよくて間が抜けて
三日もしたら日向ぼけ
ホラ ヨーイトコセー)

 

 


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