中川ひろたかさんの「にじ」は保育園・幼稚園・子ども園で人気の歌で、卒業式にはよく歌われますね。

今年の年長児担任がこの歌を歌いたいと言い、楽譜を頼まれました。楽譜はどうにでもなるんですけどね。う~ん…、この歌を子ども達に歌ってもらうことに前々から引っかかることがありました。

 

心に沁みるいい歌ですが、前半部分が、子どもが歌うにはちょっと暗く気分が落ち込んだように聞こえてしまいます。キーが低くて歌いにくいようです。
原曲は変イ長調(A♭)ですが、童謡を弾く保育士さんには弾きにくいからか、半音下げのト長調(G)の楽譜が普及していると思われます。ぷりんと楽譜もそうですね。私が持っている楽譜も、合奏用に編曲された半音下げ版です。

 

真ん中のドはド4、1オクターブ上はド5、と表すと、「にじ」の最低音はラ3で、頻出する音は以下の通りです。
・Aメロ…レ4(15回)・ミ4(13回)、ソ4(9回)、シ3(6回)
・サビ…ソ4(17回)・ラ4(10回)・シ4(9回)
サビのソラシはちょうどいいけど、Aメロのレミ中心が暗く感じてしまうようですね。

 

◆移調のすすめ
そこで、私の園では「にじ」を全音(+2)上げたイ長調(A)に移調して歌っています。

暗くなりすぎず、ピアノも弾きやすく、このくらいが現実的な落としどころではないでしょうか。ただ、サビがちょっと高めなんですよね。


◆転調のすすめ
曲全体を+2上げると、Aメロの暗さは解消されますが、サビが高すぎて歌いにくくなってきます。そこで、サビ前に転調させて普及版のト長調にしてあげれば無理なく歌えるはずです。

 

サビ終わりにはまた+2転調させる。

難点は、ちょっと不自然に聞こえるかもしれないことと、ついついサビを転調させないまま歌ってしまうことです。何度か歌えば慣れますけど。転調の直前にドミナントをしっかり響かせ、メロディーを強調すれば子どもたちを誘導できます。

◆各部分のバージョン違い
いろいろと耳コピアレンジして、楽譜を作りました。各自で自由に組み合わせたり、弾きやすいアレンジを考える材料にしたり、活用してみてください。

0:00 説明
1:41 ①移調・通常版
5:19 ②移調・簡易版
8:50 ③転調・通常版
12:26 ④転調・簡易版

 

 

《前奏6パターン》
15:58 1a 7小節
16:19 1b  〃 簡略
16:43 2a 4小節
16:59 2b  〃 和音付加
17:16 3a 4小節 合奏用を元に
17:32 3b  〃 簡略

【前奏】
1a 7小節
1b  〃 簡略
2a 4小節
2b  〃 和音付加
3a 4小節 合奏用を元に
3b  〃 簡略

【Aメロ・歌部分】
4a 合奏用を元に
4b  〃 簡略
4c   〃 増量

【短い間奏】
5a
5b  〃 簡略

【間奏】
6a 単音
6b 和音付加

【後奏】
7

★移調版(イ長調)
①通常版… 前奏(1a), 歌1番[Aメロ・サビ](4a), 短い間奏(5a), 歌2番[Aメロ・サビ](4a) (4c), 間奏(6b), 歌3番[Aメロ・サビ](4a), サビ繰り返し(4a), 後奏(7)
②簡易版… 前奏(3b), 歌1番[Aメロ・サビ](4b), 短い間奏(5b), 歌2番[Aメロ・サビ](4b), 間奏(6a), 歌3番[Aメロ・サビ](4b), サビ繰り返し(4b), 後奏(7)

★転調版(イ・ト長調)
③通常版
④簡易版

保育園・幼稚園・子ども園の先生方は「にじ」に限らずどんな歌でも、流行りや雰囲気だけで選曲せず、「子どもがのびのびと歌える」ことを重視して、伴奏を工夫してみてください。

photo by Gaku0318 / ぱくたそ(www.pakutaso.com)

 


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