きのうはね、かみさんの誕生日でした。

えっと47。一瞬6歳離れます。

いつものように、会社に行く前に花屋に寄り、薄ピンクのチューリップの配達を頼む。クリスマスと誕生日にはいつも花を贈る。まだ、結婚する前、今から14年前、彼女と付き合っている時、部屋にピンクのチューリップの写真の額縁が飾ってあった。聞くときれいでしょ。好きなんだという。それ以来、付き合い始めて初めての彼女の33歳の誕生日からずっとだ。
どんなにケンカしていても、これだけは続けてきた。それから、14年、結婚して、11年。

今、お互いの関係は冷めている。

帰りも遅く、僕は誕生日に間に合わなかった。

深夜、12時をまわった。

帰ると、チューリップが花瓶に生けてあった。

娘には、言ってあった。メールでも伝え、何時ごろ花が届くから、その時は家に誰かいるようにと。

帰った。

かみさんは一言も「ありがとう」とも何も言わずに、目も合わさずに寝た。いつもの日常。

俺抜きで、誕生会をやった形跡もない。


ふむ。なるほど。

僕の眼に、何気にブランド物の紙袋が眼に留まった。

中にはたぶん仕事仲間とおもわれるけど、誕生日カード。

誕生日プレゼントだ。



さかのぼること、寝る前、かみさんが一瞬、娘に指でしーーーっとやったのを僕は見逃さなかった。

ふむ。

仕事仲間で、娘も参加してのかみさんの誕生会がきっとあったのだ。


ふーー。


そこに男がいようがいまいがそういうことではない。

普通に言って欲しいわけだよ。


そんなことまで隠す、そんなことまで俺には関係ないのか?


俺は、夜10時から会議で、とても帰れなかった。確かに。

だけど、会議がなければ、一応、酒飲んで帰ることは抑えて、こういう日は、速攻帰るのが俺という人間だ。
でも、もし、そんなことしていたら、俺は家でひとり、お祝いもせずに、飯も適当に冷蔵庫のものを食べ、誰もいない家で、ビール片手に飲んだくれ、なにやっとんかいなと寂しい気持ちになっただろう。


そんな中に彼女らは帰ってきただろう。でも、そこでもきっと俺は何も文句は言わない。

別に、それでもいい。

だけど、いかに、他人で、いかに、存在を無視され、いかに、期待されず、いかに、俺が花を送ろうが偽善にしか思われず、いかに、愛されも、愛しもしていないかが、よくわかった。

だからって、今更、何が変わるわけでもなんでもないけど。 元々だからね。

今更、こんなことで、怒りも悲しみも何も感じない。











寝静まった部屋で、録画していたドラマ「東京タワー」を見て、号泣した。


身内の優しさ、人の優しさが心に染みる。





















でも、俺がもし死んでも、かみさんは涙を流さないだろうな。