【アーティストとギャラリーの関係性】
アーティストは作品をつくる
ギャラリーはコレクターを持ち、アーティストの作品を売る。
アーティストとコレクターを繋ぐ
アーティストと連携しながらその作品の価値を上げていく。
何が売れるのか、
その作品に惚れ込めるか、
才能というものがあるとすれば、見極められるのか、
大変だと思います。
でも、それはとても楽しい事なんだとも思います。
タイでは優れたキュレーターとの出会いがあり、バンコクのみならず、チェンマイ、ナコンシータマラートと、作品展を巡回させる事が叶いました。
また、コレクター、顧客、さまざまなアーティストやギャラリーと知り合う事も出来、感謝しています。
そこから、の広がりは残念ながらあまり期待出来ず、そのご縁を胸に、私達は次の展示で呼ばれた台湾という新たな地での活動を望み、約一年前に台北に居を移しました。
そこで出会ったのが、ACT(台北収蔵交易中心)のギャラリーオーナーです。
出来たばかりのオークションセンターを併設したギャラリー、最初は半信半疑でしたが、数回会って話しているうちに、本気で私達と関わっていく覚悟だということが分かりました。
5年計画を立て、しっかりコレクターをつかみ、市場にのせていく。
セカンダリー、その先のオークションという場所から今を見て、戦略をねり、展示の機会をつくってくれる。
なによりも、Yosuke Hasegawaと共に飛躍する事を望んでくれた。
私達はゆるぎない尊敬と信頼を彼によせています。彼もまた、Yosuke Hasegawaの作品に惚れ込み、真剣に次の展開を常に考えてくれているのを感じます。
有難い事です。
この、リスペクトし合える対等な関係と、きちんと書類を交わすなどの信頼できる仕事の進め方。
特にお金の部分での、どちらが何にどのくらい出すか否か、というところも曖昧にしない気持ちよさ。
ここに来て、ようやくわかりました。
アーティスト側もその辺をわからない、言いづらいで済ましてはいけないのだということ。
今の時代…若いアーティスト達はそのあたりが出来ているのかもしれません。が、私達世代の日本の美大教育では、売る事、戦略、契約、どうやって市場にのり、どう世界に出て行くのか、キュレーターやギャラリーをどう見つけ、見つけられ、契約をしていくのかということについての教えは皆無だったと聞きます。
人が良く、口下手な上、モノを生み出すことに長けているアーティストは世間知らずでビジネス的な事が苦手な人が多い、という世間の認識どおり、
アーティスト仲間と話をすると、
無知な故に、騙されたり、報酬を搾取されたり、とそこまで酷くなくても、なかなか嫌な経験をしてきた人も少なくありません。
だからこそ、放っておけない!と私は夫のマネージメントやプロデュースを買って出るようになったのですが…(笑)
アーティストとギャラリー、またはキュレーターとは長い付き合いになる事も多いでしょう。
それは信頼関係が構築され、作品が売れたら、という間に於いて言える事です。
アーティストが変化をしていく、それを育てていくような関係は理想だと思います。
日本から台湾に来ているギャラリーとアーティストはかなり多いです。その中で本当にギャラリー側との関係が構築されているアーティストは一部だと思いました。
その姿を見るにつれ、
相思相愛、信頼関係は育まれていくものであり、縁としか言いようがない、とも感じています。
相性なのだとも。
私達を望むギャラリーもあれば、望まれないギャラリーもある。
それはもう縁でしかなく…
逆の言い方をすれば、世界中探せば、ピッタリマッチングするギャラリーはあるという事。
日本を出て、2ヶ国目ですが、私達はどうやら出会えたようです。
このことは、私達に自信と可能性をもたらし、未来への希望となっています。
もちろん、ここが足がかりとなるのはACTのオーナーも理解してくれていて、
別のギャラリーからの声がけもありがたい事ではありますが、
慎重に選んでいきたい、そんな時期に来たのだと思います。
基本的に、ギャラリー側がアーティストをしばることはありません。
と、ここまで基本的な事
学んだ事、恵まれてきた事を書きましたが…
良い事ばかりでもなく
残念な関係性もありました。
それが、日本のギャラリーだったために正直凹んでいます。
口先ばかり
調子だけ良くて
打ち合わせの段階から、「うちは全て面倒をみますよ」と言われたために、過大に期待をしてしまったんです。
もっと突っ込んで質問なり役割、期限などを明確にしておくべきでした。
(製作費・額装について・運搬費・渡航費・滞在費・マージンなどは、作品、展示会場、主催、スポンサーの有無、その他ギャラリーとの契約でその都度まちまちです)
本当に調子だけは良くて、でも期限や契約はいい加減でした。
言葉が通じる分、ハッキリ言葉にする事が憚れる空気…
日本人的な社交辞令
曖昧にしておく方が、その場がスムーズに進む…?!
私の感覚では気持ち悪さしか残っていません。
日本社会から離れた感覚だからなのか(6年ですが)
ゆるい南国暮らしの中ですら起こらなかった、1人の人が吐いた言葉と、その人の行動との矛盾は理解に苦しむものでした。
最初から今日まで、私は私達の足りなかった事、反省すべき点を探して自分達がいけなかったんだと、そのギャラリーやその人を責めないマインドを作るように努力してきました。
コレクターを持っていないのか
営業努力をしないのか、
様子を見られたのか、
オープニングに来ていただけたのは私達がお声をかけた皆様でした。
お陰様でいくつかの作品は売れました。
ただここにきて、
終わった展示の、ギャラリー側が指定してきた支払い期限を過ぎて尚、こちらへの入金はありません。
連絡はしていますが、返信すらないのです。
展示前から連絡に返信がない事に、夫はかなり疲弊していましたが。
こんな言い方はタイに失礼ですが、「タイですか?」いや、タイですらこんな事はありませんでしたけど…。
日本、こんな感じでしたっけ?!
馬鹿にされているのでしょうか?
完全にナメられている、そんなふうに感じてしまいました。
もっとお互いをリスペクトし合える人と組みたい、とつくづく思います。
結局のところ、あのギャラリーの方(オーナーは別にいるようです)からは、
アーティストとしてリスペクトされてはいなかったのでしょうね?!
他のアーティストの方との相性は良いようですし。
ただ単に、不幸な事に
「相性が合わなかったんだね」という事「お別れしましょう」「お互いにもっと相応しい人との出会いがありますね」という事なんだな、と理解しています。
でも仕事は仕事ですから、
入金はして下さい(と、本人に言わなくてはね…)
ギャラリーとアーティストは対等でありたい。
それを叶えてくれる台北のACTを中心に、新たなギャラリー、別の国のギャラリーとも話を進めています。
そして日本ではタグボートを選び選ばれました。
この記事を公開するか否か…悩みました。
が、同じような思いにもやもやするアーティストに捧げようと思います(笑)
ギャラリーとアーティストは対等であり、相思相愛でいたい
強く望むところだし、
アーティスト側がもっとしっかりシビアに客観的な視点をもとう!
という事です。(これについてはまた気が乗れば書きたいと思います)