WOM 11月
(このコラムは、2017年10月に執筆。Wom Bangkok11月号に掲載されたものです)
本当のところ
先月末でタイ生活も5年目に入りました。
5年と言っても、ただ、時だけが過ぎてきたとも言える生活の中で、小さな日々の経験の積み重ねが学びとなる事があります。
その1つがタクシーにまつわること。
いっときネットニュースでも騒がれた、「悪名高い」と呼ばれているタイのタクシーはほんの一部です。
確かに
乗車拒否やメーターを使わず、金額を高めに交渉してきたり、まさかの途中下車を余儀なくされる事も皆無ではありませんが、
私は比較的タクシーを良く使います。
そして、住み始めた当初より、今は確実に使いやすい便利な足となってくれているのを感じています。
GRABやUBERなどの配車アプリが浸透してきたせいもあるでしょう。
運転手さんの評価が出来、
あらかじめ金額がわかり、
地図が示される、
など安全安心な要素が増えたとも言えます。
ただ私の場合、
ラジオのスタジオに行く際に使う時は、早朝のせいかドライバーからの応答がなく、配車予約にならない日の方が多いのです。
今はコンドの守衛さんに夜お願いしておくと、翌日の早朝に流しのタクシーを拾って、玄関前でスタンバイしてくれるようになりました。
まあ、守衛さんとの連絡が習慣になる迄には空ぶった回数も相当なものですが。(笑)
そんな感じで、快適なタクシー生活を送っている中、
先日「流しているタクシーには絶対に乗ってはいけないし、乗らない」とおっしゃる方にお会いしました。
幼少期をバンコクで過ごし、再びこの地で仕事や生活を始めた日本人の女性です。
よっぽど危険な思いをされた経験をお持ちなのかと伺うとそうではなく、ご両親からきつく言われて育ったとの事でした。
かれこれ40年近く前のお話なので、当時は本当に危険だったのかもしれません。
この話で思い出したのは、私が7年前にNYを1人で旅した時のこと。
地下鉄に何度か乗る中で、時間帯や車両によって、乗車している人の層がガラリと変わった事に遭遇したのです。
明らかに低所得層と見られる労働者風の容貌の乗客だらけの中で、小さくなりながら不安を覚えたのでした。
しかしそれを後日、NYに20年住んでいる日本人女性に話すと、偏見だと憤慨されました。
「怖いと思う心で見るから怖いのだ」と。
確かにその通りだと、それ以来どこの国に行っても思い出すようにしています。
もちろん全てを脳天気に信用するという事ではありません。
タイでも不幸な事故に遭わない為の防御や警戒ももちろん必要な事だと思います。
でも、こちらから好意を向け、こちらから笑顔を向け、こちらから挨拶をすれば、タイは確かに「微笑みの国」なのです。
人の言葉や勝手な思い込みによって、疑心暗鬼を生ずる事なく、自らの経験や体験から物事を判断し、海外生活や旅行を楽しみたいものです。