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ヒロポタンの足跡

これは、気まぐれヒロポタンのたどった足跡(主に飲食系 その他諸々)を忠実に、そして、写実的でありながらも叙情的な文章で綴った、臨場感溢れる心温まる手記です。

 北関東有数の大都会宇都宮市は車社会のため、市街地近郊の幹線道路に大規模駐車場を併設した量販店が軒を連ねている都市構造となっている。その中でも、宇都宮市と栃木市とを連絡している常時交通量の多い栃木街道沿線は、そうしたロードサイド型商業施設の進出が盛んで、昭和の高度経済成長期以降めざましく発展を遂げてきた界隈である。無論、ラーメン店も多数林立し、ちょっとした激戦区の様相になっていて、それぞれ競い合うように派手なデザインの看板や店舗が目立つ。

 さて、その一つである肉そばがウリの「丸源ラーメン」がドカッと腕組みした店構えで当街道に佇んでいるのだが、そのチラシ兼クーポンが、つい2~3日前に我が家のポストに投函されていたのだ。その日の夜、うちのカミさんが、「コレ見てよ!クーポン使って食べたァい」と、食事を終えてソファに深々と身を沈めている自分にかわら版のようなチラシをバシッと手渡ししてきた。眼鏡を外してチラシに目を通すと、いかにも食欲をそそるラーメンの写真の数々とともに、肉そば開発者の「私は世の中にないラーメンを作りたかったんです!!」という直筆と思われる熱い触書がいっしょに掲載されていた。なるほど、これはただ事ではない。筋トレジムの帰り道に見せつけられていた旨そうな店構えが以前から気になっていたといううちのカミさんを更にソノ気にさせた「かわら版」の真相について、是非とも我が味覚で確かめる必要があると判断し、近日中に家族全員で実地調査し検証しようということになったのだった。

 4月17日、土曜日。調査当日を迎えた。志を共にした我々調査員一同は一般客になりすまし、今にも雨が落ちてきそうな曇り空の中、いよいよ行動を開始した。



 昼時のピークとあって数組待たされたが、待ち飽きる前に自分たちが席に案内される番がまわってきた。客層は幅広く、男女ともに高齢者から未就学児に至るまでほぼ同割合の利用状況で、収容率は目測で90パーセントと見受けられたほか、少人数での女子グループによる会食はもとより、単独で食事を楽しんでいる男性利用客も少なくなかった。
 着席後、速やかに密談して調査すべきメニューを選定した。その結果、自分はこの店のうたい文句となっている肉そばに餃子唐揚げセットを、うちのカミさんは担々麺に餃子炒飯セットを、そして、子供は磯海苔がたっぷりと麺の上に乗せられている塩海苔ラーメンを検証することとした。数分後、真剣勝負の時間が熱気とともに到来した。

〈いざ隠密行動開始〉

 激闘の末、麺一本残さず胃袋におさめた。我々のテーブルの上は、満足感を得た胃袋とはウラハラに、静寂で平穏な虚無感だけが漂っていた。

〈漂う虚無感〉

 「食べて満腹、残すモノなし。井坂十蔵様、やりましたよ!」
 こうして、我が家に、時代錯誤の平和が戻ったのだった…。