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ヒロポタンの足跡

これは、気まぐれヒロポタンのたどった足跡(主に飲食系 その他諸々)を忠実に、そして、写実的でありながらも叙情的な文章で綴った、臨場感溢れる心温まる手記です。

 もしも、ウイルスの度重なる蔓延という事態になっていなかったら…。おそらく、我が家では今年の黄金週間を四国地方または広島県で過ごしていたことだろう。既述(「夢見る大人じゃいられない」参照)の四国アイランドぐるり一周の旅については、個人的には再び会うまでの遠い約束として心の片隅に構想を描き続けていきたいと思っている。まあ、それはさておき、我が家が程よく旅行を楽しめる実現可能な行程としては4泊4日で、寝台特急サンライズ瀬戸号に乗車し、香川県内で本場の讃岐うどんを食べまくるグルメ旅を考えていた。この企画は、発案と同時に家族全員の賛同を得られ、実現に向けて水面下で動き出したのも束の間、列車の予約は既に取れない状況になっていた。流石に人気列車と言うだけあって、一応繁忙期の予約は困難なのだということを、あらためて思い知った。なお、四国の大地を踏む手段なら他にも選択肢があるのだが、我が家は件の寝台列車での移動に強くこだわった。その理由として、うちのカミさんが熱望したのである。これまでの人生において、まだ寝台列車というものを体験したことがないのだそうだ。では、なぜ熱望したのかというと、自分が独身の頃、一人旅でよく利用したことを情感込めて話したことに起因する。併せて、人気動画サイトを鑑賞したことも拍車を掛け、益々乗りたい気持ちが高まったらしい。

 ところで、かく言う自分は当サンライズ瀬戸号に乗車した経験があるかというと、実は、ない。自分が乗車経験のある寝台列車は、東京駅と大阪駅とを夜間ひたむきに走り抜けていた今はなき寝台急行「銀河」と、青函トンネル開通により新たに編成されたやはり今はなき寝台特急「北斗星」である。寝ている間に遠くまで連れて行ってくれるというメリットを最大限に活用し、銀河号においては九州四国を含む西日本各地へ、また、北斗星においては北海道のディープゾーンへ、よく旅したものである。時折その話をうちのカミさんにすると、「ズル~い!何でアタシを連れて行ってくれなかったの!」と、冗談交じりに泣かれるが、そんな時は、「ママと出逢うために全国を旅していたのかもしれないね」と、ちょっとキザな台詞でその場をおさめるのだった。

 話が随分と逸脱した。最初に戻って、もしもウイルスの蔓延がなかったら大規模な家族旅行を楽しむつもりだったが、天の神はその行為に許可を出さなかったので、1泊2日の県内小旅行を実施したこと以外は、概ね家の周りで慎ましく過ごした5日間なのであった。その最終日は家族全員が食事を楽しめる「餃子の王将」でランチした。

 餃子の王将は朝の10時から開店しているので、昼時の混雑を回避して11時頃入店できるよう、我々は早めに行動開始した。そして、店の外で待機することもなく、容易に席に着くことができた。

 店内は、既に目測でおよそ占有率70パーセントのテーブル席が埋まっていた。王将の人気の高さを裏付ける光景を目の当たりにした。


 当初、回鍋肉のCセット(ご飯、スープ、漬物のパッケージ)を発注する計画でいたが、その後、内壁や卓上等の宣伝用貼紙によって、期間限定でニンニクの含有量を大幅に増やした特別仕様の餃子定食が、通常の餃子定食と同額でいただけるという貴重な情報を入手したので、注文内容を変更してあらためて発注した。なお、うちのカミさんも同メニューを、そして、ワガコは単品の通常餃子2皿を、併せて一括発注した。
〈食前〉


 一房一房、噛みしめながら夢中で食べた。

〈食後〉

 我が家にも、静かに日常が戻りつつあった。