その1 からの続きです☆
車内アナウンス
「まもなく○○駅に到着します、
お降りのお客様は・・」
「あの・・・・」
「あのっ!
あたしもうすぐ降りちゃいますよっ(笑)」
A子は両手をメガホンのようにして笑っていた。
ひろ「・・・・・うわっ!!A子さんっ!?」
「ふふ(笑)、
さっきとおんなじリアクション(笑)」
ひろ「・・・・あっ、そっか、あ、はい、
今日は本当に幸せでした。
これからもA子さんが芸能界にいる限り、
卒業しても、結婚しても、
ずっと応援してますので・・」
「ふふ、卒業はもうしてますよ(笑)」
「あっ、すみません、
ちょっとまだ混乱しておりまして・・(汗)」
「ふふふ、でもありがとう(笑)
・・・じゃあ、これ☆」
A子は両手で大事そうにさっきの握手券を手渡した。
「・・・大切に。
して下さいね☆」
~それから数ヶ月後~
とある街中で。
友人「最近のA子ってさ、
テレビとかでグループにいた頃の話よくしてるよな?」
ひろ「あ、そう言われてみれば・・・」
友人「この前のスペシャル番組でも嬉しそうに、
当時の生誕祭の話もしてたし・・・
えっ!?
おい、ひろ!
今度A子が○年ぶりに握手会するってよ!」
と、タブレットの液晶画面をひろに向けた。
ひろ「え~どれどれ・・・
『・・・さらにグループ在籍当時の
A子の握手券をご持参の方には、
スペシャル特典として・・・』
・・ええっ!?すごっ!!」
友人「当時の握手券持ってる人なんていんのかよ~」
「ふっふっふっ、
ひろは家に帰れば何枚かあるぜい☆
あ、そうだ・・・・」
財布から数ヶ月ぶりに「あの握手券」を取り出し、
眺めてみると・・・。
『○○○○(曲のタイトル)
劇場版 発売記念
大握手会参加券
○○A子 第○部
(会場) ○○○○○
あたしと偶然そうぐうしたときに☆
(日時)20○○年○月○日
あたしのキゲンがよかった場合のみ有効(笑)』
友人「・・なんかそれ、ラクガキされてね?(笑)」
「あっ!
これ・・・うーんと。。あれだ、
・・・姪っ子にいたずらされたやつのだった・・・かな。。」
友人「あはは、ばっかでー(笑)」
「・・・こんときひろ眠ってたんだよ。
しょうがないべ(笑)」
友人「そっかw」
街中の声
「おいっ、あっちで、
○○A子が撮影してるって!」
友人「おっひろ!
行かなくていいのか!?」
ひろ「えっ!よしっ!あ・・・・
・・・・今日はいいや、
またいつか、
偶然遭遇したときで・・・・」
友人「なーんだそれ(笑)」
「ま、いいからいいから(笑)」
人の流れとは逆方向に歩き始めた2人の周囲には、
大きなモニターや宣伝ボード、書店に並ぶ表紙など・・・
心から幸せで楽しそうな、
沢山のA子さんの笑顔で溢れていた。
・・・・最後までお付き合い下さりありがとうございました☆
※東京でのオリンピック開催決定に沸いた,
2013年から○年後の,
202×年のお話・・・・
出張から帰る新幹線の中、
いつものように経費のレシートを整理しようと、
カバンの中から財布を取り出すと・・
「バサッ・・・」
札入れの中身が全て座席の下に落ちてしまった。
慌てて拾い集めているとカラフルな1枚の紙切れが・・・
『○○○○(曲のタイトル)
劇場版 発売記念
大握手会参加券
○○A子 第○部
(会場)○○○○○
(日付)20○○年○月○日のみ有効』
「あれ!?使えなかった昔の握手券だ・・・
なんで財布に入ってんだ?」
この握手券を使わなかった理由、
返品可能だったのかどうか・・・
今となっては思い出せない。
「握手券か、なつかしいなぁ・・・」
少し眺めてから財布に戻し、
窓の外に目をやっていると、
「あの・・・・」
「あのっ、ちょっといいですか?」
隣の座席から声がする・・・・
ひろ「・・はいっ?」
「今、しまったのって、
あたしのじゃないですか?」
ひろ「・・・・・えっ?」
「今この瞬間自分の財布から落ち、
自身で拾い上げたものの所有権を、
まさか他人が主張してくるとは・・・」
というような、
少し迷惑そうな表情でその女性に説明を開始した。
ひろ「あの、どう見えたか知りませんが、
これは握手券というものでして・・」
説明の途中でその握手券が、
ひろの手から消えた。
A子「あーっ!やっぱり○○○○だぁ!
この曲懐かし過ぎる~(笑)」
女性はかけていたサングラスを頭の上に乗せ、
その券を嬉しそうに両手で持ち、
満面の笑みを浮かべている。
「
ひろ「・・・・・うわっ!!A子さんっ!?」
A子「ねっ。やっぱりこれ、
『あたしの』、
だったでしょ?(笑)」
驚いた表情のひろとは対照的に、
A子はその券に書かれた自分の名前を指差しながら、
会心の笑みを浮かべている。
「じゃあ・・・
はいっ☆」
A子はひろの方を向き、
少しだけ右手を差し出した。
ひろ「・・・えっ?」
「あくしゅするでしょ?
券、あるんだから(笑)」
ひろ「あ、はい、ありがとうございます(深々ぺこり)」
少し慌てて、
差し出された手を同じ右手で軽めに握った。
「ふふ(笑)
じゃあ10秒数えまーす☆
いーち、にー・・・」
「ちょっ、A子さんが声出して数えてたら会話が・・・」(涙目)
「あ・・・、そっか(笑)」
A子は「コホン」と少しわざとらしく咳払いをしてから、
「では改めて・・☆」
先ほどよりも前に右手を差し出した。
ひろ「あ、あの・・・」
「ん?」
ひろ「お、お誕生日おめでとうございます・・・」
「・・・えっ?誕生日?」
ひろ「その握手会の日、
A子さん誕生日近かったですよね?
『お祝い言えなかったな』
とずっと残念に思っていたので・・・」
「あ・・・そっかぁ☆」
「・・・○年越しにやっと言えました(深々)」
「ふふ・・・ありがとう☆」
A子は少し目を細めて笑った後、
小さくちょこんとアタマを下げた。
ひろ「・・じゃあ。」
その可愛らしいお辞儀の後、
ひろの方から自然な感じで手を放した。
「・・・そういえば、
この頃のあたしって、
誕生日の度に握手会とか劇場とか、
色んな人達からお祝いしてもらってなぁ・・」
A子は再びその握手券を眺めながら、
懐かしさと嬉しさと、
少しだけ寂しさが混ざったような表情をした。
「けど・・・、
あたしが思っていたよりもっと多くの人が、
あたしのこと祝福してくれてたのかな・・・?」
A子はその券をこちらに見せながら、
はにかんだように笑っていた。
ひろ「あの・・・
その券はひろに返して頂けるのでしょうか?」
「え~だーめーっ(笑)
今あくしゅしたでしょ!
回収です(笑)」
「あーですよね・・」(しょんぼり)
「『使用済み』って、
書いておかなくちゃ(笑)」
A子は嬉しそうに券にペンを走らせ始めた。
「あ~あ。。
でもA子さんとこうして握手して「おめでとう」も言えたし、
すごいラッキーだったよなぁ・・・」
そんな風に心の中で自問自答していると、
出張の疲労からか眠りに落ちていった。
車内アナウンス
「まもなく○○駅に到着します、お降りのお客様は・・」
その2 へ続く・・・☆