季節外れの妄想劇場「真夏の夜の夢」第13夜<<ふたり>> | 松井玲奈に夢中になろう

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季節外れの妄想劇場 「真夏の夜の夢
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今回また松井玲奈の出番なしか

いや
だってほら
今回は奈々未とヒロの話だから

でもこの次はとうとう最終話
それには玲奈さんいっぱい出るからね

それではさっそく行くぞ
「夏夢」第13夜 <<ふたり>>
始まり始まり~


豊橋で玲奈と別れ
新幹線とバスで海辺の別荘へと戻ってきた
時間は午後6時過ぎ
海に沈もうとする夕日がとても綺麗だった

ヒロ 「う~ん
豊橋の日帰りは流石に疲れたな
奈々未は大丈夫
疲れてない

奈々未 「うん

奈々未は涼しい顔だ
意外と体力あるな

「玲奈さん今頃ご両親と会ってるかな」

「うん
会えてるといいな

ぐぅぅぅぅ

不意に俺の腹が音を立てる
そういうば腹がへった

「あははっ
おなか空いたよね
いま何かつくるから」

「うん

「なに作ろうかな~


・・・

「はい
お待たせ

簡単でゴメンね」


奈々未は手際よく15分ほどで
パスタを食卓に並べる

「へ~
美味しいそう

「トマトの冷製パスタトマト
ホールトマトの缶詰使えば簡単なんだ」


「いただきま~す
うん うまい

「ホント

奈々未は俺がパスタを頬張る俺を嬉しそうに見ている

奈々未が全てを知れば
もう2度とこんなこともないだろう
俺はついそんなコトを考えてフォークが止まる

「んっ
どうかした


「いや
ホントうまい このパスタ
奈々未も食べなよ」

「うん

・・・

「ごちそうさま
ホントおいしかった

「いま紅茶入れるね」

「うん」

ドーン
ドドーン

「んっ

遠くから爆発音が聞える

「なんだ
あの音」

「今日 花火大会があるんだよ
駅にポスターが貼ってあったじゃない」


「あ~
あれ今日だったのか」

「ねえ行こっか


「奈々未 行きたいの

「うん
前は家族みんなでよく行ったよね


「じゃあ
久しぶりに行くか

「うん
えっと~

確か8時からだから
まだ少し時間あるよね
準備しなきゃ


「準備

「うん
ちょっと待っててね」


「準備ってなに

奈々未は俺の問いに応えもせず
急いで2階に行き
なにやらガサゴソやりだした

「なにやってるんだか

・・・

20分ほど経っただろうか
ようやく奈々未が2階から下りてきた

「お待たせどうかな


「・・・

色鮮やかな浴衣がとても似合っている
あまりに綺麗で俺は一瞬言葉が出ない

「んっ
どう
ヒロ 似合ってる


「えっ
う うん
浴衣着てたのか」

「うん

「すごく似合ってるよ
とてもキレイだ

「えっ
ホントに


俺は今までこんな風に奈々未を褒めたことがない

玲奈と奈和の心温まる光景を見たからだろうか
なぜか今日は素直に自分の気持ちを言葉に出来た

奈々未も俺の言葉が意外だったようだ
真っ赤になって下を向き
とても照れている

そんな奈々未の仕草も愛らしい

「ヒヒロもこれを来て

「へっ
俺も浴衣着るの

「うん
せっかくだから2人とも浴衣で出かけようよ」

「う うん」

・・・

奈々未が手早く俺に浴衣を着せてくれる

「うんヒロも似合ってるよ」

「じゃあ 行こうか」

「うん


・・・

2人で海岸沿いの小道を歩く

ドド~ン


「あっ
始まっちゃった
急ぐ


俺たちが向かう道の先から
色鮮やかな花火が上がる

「いいよ
歩きながらでも見えるしノンビリ歩こ」

「うん

花火大会は始まったが人影はまばら

小さな海岸での小さな花火大会
そこまで人出はないようだ

「キレイだね

「そうだな」

奈々未と俺は花火を眺めながらノンビリと歩く

「その辺りで座って見よっか」

「うん

花火大会の会場はまだ少し先だったが
道の土手に座り2人並んで花火を見る


奈々未はとても楽しそうに花火を見てて
ときおり
「今の形おもしろ~い」とか
「すごく綺麗だね」とか俺に話しかけてくる

俺は
「そうだな」ってな感じの気のない返事を返す

どんなときも
ただ当たり前の会話
それが俺と奈々未

2人でいるのが
ただただ自然なことだから

でも・・・
そんな2人の関係もこの夏と共に終わる
それが俺と白石が交わした約束

花火の明かりに時折照らされる奈々未の横顔を見ながら
俺はそんなことをぼんやりと考えていた

・・・

「あ~あ
終わっちゃった」


「うん
まあ小さい大会だからな」

奈々未は「もっと見たかった」と言う風に
頬を膨らませながら立ち上がった

「帰ろっか

「うん」

2人で来た道をノンビリと歩いて戻る

「ねえ
聞いて」


「えっ

不意に奈々未はしゃがんで両手を耳の外側にあてる


「もう虫の声が聞える
きれい」


花火の音で気付かなかったが
言われれば秋の虫がさまざまな音色を奏でていた

それに先ほどから時折そよぐ風も
浴衣の俺には少し肌寒い

「そっか
いつのまにか夏も終わろうとしているのか」

「そうだね
もう秋の足音が聞えるね


奈々未は首を傾け
心地良さそうに虫の声を聞いていた

夏も終わる
約束の夏も・・・

今日この日
玲奈はありったけの勇気を振り絞って
奈和に全てを告白した

・・・
ちょうどいいのかもしれないな

「なあ
奈々未」

「んっ

「少し砂浜歩かないか

「えっ
でも草履が砂で汚れちゃうよ」


「洗えばいいじゃん
行こっ

「えっ
でも


「ほらっ

俺は奈々未の手を掴み
強引に奈々未を砂浜に連れて行く

明かりの無い真っ暗な砂浜
美しい満月の月明かりだけが俺と奈々未を照らしている

波際まで来て立ち止まり奈々未の手を離す
ちょうど俺が溺れて引き上げられた辺りだろうか

「もう
いつも自分勝手なんだから


そう言いながらも奈々未は
「仕方ないな~」といった感じで笑ってる

俺たちはいつもこんな感じ
何をしても奈々未は許してくれる
ただそれも今日で終わる

「奈々未
話があるんだ」

「えっ


「聞いて欲しいんだ 全部
奈々未の知らない本当のことを・・・」

漆黒の砂浜で
満月の明かりで美しく浮かびあがる奈々未
沖のはるか遠くには漁り火か揺れていた

今ここで全て話そう
・・・その結果
奈々未を失うことになっても・・・

「本当のこと

奈々未は首を傾げながら俺に問いかける
先ほどまでとは打って変わって緊張した面持ち

ただ
それは俺も同じ
手のひらは薄っすらと汗ばみ
そしてその手は震えていた

奈々未と話をするのに
こんなに緊張したことは無い

俺が過去に犯してしまったこと
出来れば奈々未に話したくはなかった

ただ俺の罪を隠したまま
奈々未の傍にいるなんてことだけはしたくない
俺が世界で一番大好きな奈々未に
そんな不誠実なことだけは

全てを話せば奈々未は俺から離れていくだろう

それでよかった
それが俺に対する当然の報い
そして何より奈々未のため
奈々未には俺のようにズルくて勇気の無い男より
もっと相応しい男がいると思うから

「奈々未
2週間前の夜中
俺が奈々未を好きだと言ったこと
憶えてるよね」

コクッ
奈々未は静かに頷く

「あれは本当なんだ
ずっと俺は奈々未のことが好きだった
いつからか分からないぐらいずっと前から」

「・・・うん」

奈々未は不安そうに聞いている

「そして奈々未が俺のことを
想ってくれていることも分かってた
いくら鈍感な俺でも流石に・・・
だけど・・・
・・・」

「・・・だけど」

言葉につまっている俺を奈々未が促してくれる

「だけど俺は・・・
俺は奈々未の想いに応えることは出来ないんだ」

少しの間沈黙が流れる
その沈黙を破ったのは奈々未

「・・・どうして・・・
アタシのこと・・・好きって・・・」


「・・・奈々未が俺のことを想ってくれるのは
小3の時のあの言葉があったからだよね」

「・・・」

「あれは・・・」

全てを話すと心に決めたはずなのに
いざとなると言葉が続かない

俺は自分の意気地の無さに失望した
そんな時・・・

「ヒロ君 アタシでも出来たんだよ
逃げずに頑張って」


えっ

俺は声の聞えたほうに視線を移す

でも
いるわけがない
そう玲奈がいるわけがないんだ
今 ここに

ただの空耳だったのかもしれない
けどその空耳はやさしく俺の背中を押してくれた
ありがとう 玲奈
俺も勇気を出すよ

「奈々未
俺が奈々未に言った言葉
アレはお前のことを心配して言った言葉じゃないんだ
ただ・・・奈々未に掃除をさせたくて言った言葉なんだ」

「・・・」

「それと・・・
奈々未が虐められる原因を作ったのも・・・
俺なんだ
小2のとき俺が友達に『奈々未って気持ち悪いよな』って言って
それをあいつらが面白がって奈々未に言ったんだ
そしたら皆に広まって」

「・・・」

「ホント俺って最低だろ
奈々未をあんな辛い目に遭わせておいて
しかも適当な言葉をかけてさ
そして奈々未の勘違いを利用して
ずっと奈々未の傍にいたんだ
俺は奈々未に想ってもらえるような人間じゃないんだ」

「本当は全部隠して別れを告げるつもりだった
だけどせめて謝りたいって
本当のことを話して奈々未に謝りたいって・・・]

「ごめんな 奈々未
辛い目にあわせて
そしてずっと騙してて
ホントにすまない」

俺は深く頭を下げる
これで俺と奈々未の仲も終わる
ただそれでいい
嘘や隠し事で続くよりも終わったほうが

「・・・それだけ


「えっ

俺は下げていた頭を上げて奈々未を見る

「それだけって
どういう意味だ
奈々未の言いたいことが分からなかった

「・・・知ってたよ
アタシ」


「えっ
知ってた

「アタシはあの時からずっとヒロだけを見てたんだよ」

「気付いてたよ
あの言葉もアタシのことを
心配して言ってくれたものじゃないって」


「・・・」
言葉が出てこない

「ヒロが『奈々未は奈々未だろ』って言ってくれた時
本当にすっごく嬉しかった
だからすぐにヒロのことが大好きになって
それから学校ではヒロのことばかり見てた」

「でもヒロはアタシがイジメられてても
しらんぷりだったし
声をかけてくれるのは掃除のときだけ」

「たがらすぐに気付いたんだ
ヒロはアタシに掃除させたかっただけなんだな~って」

奈々未は寂しそうに笑う

「でもそれでも良かったの
掃除させたいだけでも・・・
だってあの時のアタシに普通に声かけてくれたのは
ヒロだけだったから
だから少しでもヒロに好きになってもらいたくて
掃除は凄くがんばった」


「奈々未」

「そして
いつの間にか両親同士も仲良くなって
休みの日にヒロの家族と一緒に出かけるようになったでしょ
ヒロはぶっきら棒だけど杏実ちゃんには優しくて
アタシとも一緒に遊んでくれてとっても楽しくて」

「学校のヒロはぶっきら棒で少し恐かったんだけど
ホントは優しいんだな~って思った」

「それに5年生の時
アタシを虐めてた男子に言ってくれたでしょ
『もう止めろ』って
先生も事務的に対応してただけなのに
ヒロだけだった
イジメを止めろって言ってくれたのは」


「なんで知って」

「ヒロがアイツらを呼び出してたから
心配になってコッソリ後をつけて立ち聞きしてたの」


「その時に知ったのか
俺がイジメの原因を作ったって」

奈々未は黙って首を振る

「じゃあ いつ知ったんだ」

「最初から知ってたよ」


「最初から」

「うん
1番最初に言われたんだ
『奈々未って気持ち悪いよな ヒロが言ってたぞ』って」


「・・・」

「その日からだもの
イジメられたの」


俺は言葉が出ない
ただこれだけは聞きたかった
どうしても

「知ってたなら・・・
全部知ってたなら
なんで・・・
なんでずっと俺のこと想ってくれてたんだ
恨みこそすれ俺のことを好きだなんて」

「イジメの原因を作ったのはヒロかも知れない
けどヒロは一度もアタシをイジメなかった」


「でも」

「アタシが中2の時やっとイジメが終わって」

そう
奈々未はあの頃から急に可愛くなって
成績も凄く良かったから急にチヤホヤされて

「イジメがなくなったのは本当に嬉しかったけど
もてはやされるのが凄くイヤだった」


「恥ずかしいから

「違うの
昨日までアタシのこと『キモイ』っ言ってた人たちが
急に言うんだよ
『凄く可愛い』とか
『頭いいんだね』とか」

「アタシがイジメられてるとき
みんな遠くから白い目で見て関わらないようにしてた
そしてイジメが終ったら
今度はみんな笑顔で近づいてきた」


「・・・アタシは何も変わってないのに
アタシはアタシのままなのに
周りの皆は手のひらを返したように変わったの」

「でも・・・
でもヒロだけは変わらなかった
皆がアタシに『キモイ』って言っても
『カワイイ』って言っても
ヒロだけはずっと変わらず
ぶっきら棒にアタシのことを『奈々未』って」


奈々未の綺麗な頬に涙が伝う

「ただ・・・
ただ『奈々未』って呼んでくれた
その言い方は素っ気なくて全然優しくないけど
アタシはヒロに『奈々未』って呼ばれるだびに
こう思えるの
アタシはアタシでいいんだって
アタシはアタシなんだって」


「周りがアタシをイジメてもチヤホヤしてても関係ない

ヒロだけはずっと変わらず
ただ橋本奈々未を橋本奈々未として扱ってくれた
そんな人はヒロだけなんだ」

「・・・奈々未」

「お願い ヒロ
これからもずっとアタシの隣にいて
アタシがアタシでいられる場所は
ヒロの隣だけだから」

「そしてずっと呼んで欲しい
奈々未って
これからもずっと ずっと・・・
・・・だってアタシはヒロのことが大好きだから」


「・・・奈々未
俺も奈々未のことが大好きだ
今まで・・・
今まで言えなくてゴメンな」

俺は奈々未の華奢な体をそっと引き寄せ
そして強く抱きしめる

「奈々未」

奈々未の大きくて綺麗な瞳をじっと見つめる
俺が大好きな瞳
どれぐらいの時間見つめていただろう
奈々未が静かにまぶたを閉じる

俺はそっと奈々未の唇に俺の唇を重ねた

沖には漁り火か瞬き
月明かりだけが2人を照らしていた

・・・

別荘に向かって砂浜をノンビリと歩いていた

「ねえ ヒロ
どうして今夜話をしてくれたの

玲奈さんのことがあったから」


「うん
ホントはなにも話さず
奈々未とサヨナラしようと思ってた
真実を知れば奈々未に嫌われると思ったから」

「ひどいよそれ」

「でも玲奈がそれはダメだって
玲奈も勇気を出すから
俺にも勇気を出せって
そう約束したんだ」

「じゃあ
玲奈さんのお陰だね


「うん
そうだな

「あっでもさ
奈々未は全部知ってたんだよね
俺がイジメの原因を作ったこととか」

「えっ
うん まあ


「じゃあ
俺がそのことで悩んでたのも気付いてたの

「えっ
まあ何となく感じてたけど


「えええっ
じゃあ何でもっと早く言ってくれないんだよ

「う~ん
どうしてかな~


「もしかしたら見ていたかったのかも
ヒロが悩んで苦しんでるところを


「ええええっ
なんでそんな酷いことするんだ

「仕返しだよ仕返し
ヒロのせいでアタシ虐められてたんだよ


「いやまあ
それはそうだけど

「あははっ
そんなに落ち込まないで
冗談だよ 冗談


奈々未はいたずらっぽく笑う
今まで俺が見たことのない表情
こいつホントに冗談か

「奈々未って実はSキャラだったんだ

「Sキャラじゃないよ

「い~や
今の笑い方はSっぽかった

「え~

今夜
俺と奈々未は幼馴染から恋人同士になった
奈々未は少し言うようになったけど
これから俺たちは何かが変わっていくのだろうか

あっ
もう既に1つ変わったことがあった
俺は今奈々未の手を握って歩いてる
奈々未の手の温もりがとても温かい

「奈々未はドSだドS

「え~
絶対違うよ


奈々未の髪が晩夏の夜風にそよぐ
幸せな2人は本当にノンビリと砂浜を歩て行く
まるで去り行く夏を惜しむかのように・・・


真夏の夜に見た永い夢も今終わりを告げる
次回 「夏夢」 最終夜 << 証 >>
お楽しみに~

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