【一本の竹の子】

駅のホームから
ふと視線を移すと
竹の子が一本生えていた
そこは民家の庭の裏
何度か見直して見たけれど
それは立派な竹の子だった

今がまさに食べ頃
誰も採らないのか
死角になって
見つけてもらえないのか
ここからよく見えるけど
駅のホームの向こう側
線路に降りて
採りに行く人もいないだろう

数日後
竹の子は倍くらいに
育っていた
もうそうなると
食べ頃も
とうに過ぎてしまっただろう

やがてその竹の子も
何事も無かったように
立派な竹に
成長していくのだろう
きっと彼は
竹の子で終わりたくは
なかったのだろう