■悩みの99%は、悩んでもどうにもならないこと
私はこれまで生きてきた中で、眠れなかったことは恐らく1日、2日もないと思います。いつでもどこでも移動中でも旅行中でも気にせず、眠れます。
すぐに眠れるのは、くよくよ思い悩まないからでしょう。なぜくよくよしないのかといえば、起きたことを受け入れて、前へ前へと進んでいく人生を送ってきたからだと思います。
人の悩みの99%は、悩んでもどうにもならないこと。過去の出来事にとらわれたり、将来のことを不安に思ったり、みんな悩まないでいいことで悩んでいます。つまり、ほとんどの人が自分ではどうにも変えようがないことで息苦しくなっているのではないでしょうか。
過ぎてしまったことは、自分の力ではどうにもできません。私はどんなときも起きたことを受け入れました。その上で何ができるか、どう変えていくかを考え、本当に必要だと思うことに全力を注いだのです。
ひたすら目の前の課題に没頭すればいい。取り組んでみたけれどうまくいかなかったら別の方法を試せばいい、成功したら続けてみればいい。複雑に考えすぎず、シンプルに考えることです。そんなふうに考えると、少し気が楽になってきませんか。
あとは他人からしたら明らかに失敗に見えるようなことでも、失敗と思わないような心のくせをつけるといいと思います。
例えば、500個は売れると思った商品が100個しか売れなかったとき、みなさんはどう考えますか。
私は「100個しか売れなかった」とは思いません。「商品自体はすばらしい。売れなかったのは、商品の魅力がきちんとお客様に伝わらなかったからだ。紹介方法などを軌道修正して、次は500個を超えよう」と考えます。
目標の達成を目指してどんなに努力しても、目標に届かないことがあります。
でも、毎日常にベストを尽くしていれば、かなりの確率でいつか目標に到達します。何より大切なのは、プロセスの中で200%、300%の力で物事に取り組んでいるかどうかだと思います。「もうこれ以上できない」というレベルまで日々全力で仕事をしていたら、結果的に失敗したとしても、すぱっと気持ちを切り替えられるのではないでしょうか。
つまり、目の前で起きていることをどう解釈するか次第だということです。悲観的になれば消極的になり、楽観的に捉えれば前進する力になります。心の持ち方一つで、どんな問題が降りかかってきても、必ず乗り越えていけるもの。だから私は失敗を気に病んで眠れないということがほとんどないのです。
「得な性格」だと周りからうらやましがられることもありますが、単なる楽観主義者でもないつもりです。状況を漫然と傍観することなく、自分ができることに前向きに取り組んできた。私は、そう思っています。
「時の間にも、男時・女時とてあるべし」
(『風姿花伝』第七別紙口伝)
長い人生には良いときも悪いときもあり、ツキは刻々に変わる。女時はエネルギーを蓄積し、男時に変わる瞬間を見計らって攻勢に移ること
[『高田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていく』より再構成]
著者 : 高田明
出版 : 日経BP社
価格 : 1,512円 (税込み)
