乳牛に餌を与える先生たち。少ない人手でやりくりしている=播磨農業高校

(神戸新聞NEXT/神戸新聞

 

 新型コロナウイルス感染症拡大で臨時休校となっている兵庫県北播磨地域の小中高校や特別支援学校。休校中も先生たちは、学年末の成績処理や卒業式の準備などに追われている。播磨農業高校(加西市北条町東高室)では、普段は生徒たちが授業やクラブ活動で担う乳牛と肉牛計約90頭や豚約30頭、鶏約250羽などの飼育なども加わり、少人数での世話に懸命だ。

(小日向務、中西大二)

 

 同校の敷地は甲子園球場8個分にあたる約30ヘクタールあり、飼育舎や農場などが並ぶ。生徒たちは、農業経営、園芸、畜産-の3科に各学年約40人が所属し、計30人の教諭が指導している。

 

 畜産科の酪農コースではホルスタインの成牛と子牛計38頭を飼育。餌やりや牛舎の掃除などに加え、成牛は毎日2回、牛乳を搾る。例年は2年生20人が成牛1頭ずつを担当し、1年生が手伝うが、今は6人の教諭が3人ずつ交代で、通常業務をしながらこなす。松島敏春主任は「生徒たちが大切に育ててきた牛。しっかり世話をしなければ」と表情を引き締める。

 

 肉畜コースは、但馬牛の母牛や子牛、肥牛計50頭と豚、鶏がいる。牛舎では、重機を使って床に敷いたおがくずを入れ替えて掃除し、餌をやる。同科の池本賢紀科長は「『学校に行って世話をしたい』という生徒もいるが、認める訳にはいかない。先生としての意地をみせたい」と話す。

 

 農業経営科でトマトやキュウリの苗作りがピークを迎えているなど、各科ともこの時期ならではの作業がある。休校明けの“補習”はできず、継続していたデータ収集などには手が回らない。村岡宣幸教頭は「教諭たちは何とかこなしているが、長期化すると厳しい。生徒ためにも早く学校を再開したい」と願う。

 

 一方、児童の声が消えた平日午後の東条東小(加東市掎鹿谷)。職員室では大勢の教諭らが机に向かい、授業の再開に備えた資料を作ったり、一年間の指導記録を作成したり、卒業式の準備をしたりしていた。

 

 6年生の教室では、児童たちの習字や作文を取り外す教諭の姿も。卒業式前に子どもたちが自身の作品をはがし持ち帰る予定だった。しかし、学校再開時に少しでも授業時間を確保するなどの目的で取り外したという。

 

 「寂しいですね」とポツリと話すのは6年2組の担任内藤博祥教諭。「子どもらの勉強の遅れが心配。せめて卒業式はやりたい」と話していた。