札幌市で15日にあった安倍晋三首相の参院選の街頭演説で、ヤジを飛ばした数人が道警に排除された問題を受け、批判が広がっている。20日までに弁護士で作る自由法曹団道支部や立憲民主党道連、共産党道委員会などが相次いで「表現の自由を侵害する」と抗議を表明した。これに対し、道警は腕や肩をつかんで移動させた行為を認め、「対応は適切だった」と反論する。

北海道警に再発防止を申し入れ、記者会見する国民救援会道本部の守屋会長(中央)ら=札幌市中央区で2019年7月19日11時23分、真貝恒平撮影

 共産党道委員会の青山慶二委員長は20日、「道警の行為は表現の自由への侵害だ」と抗議する声明を発表した。説明や検証を求め、「不特定多数の市民が集う街頭で警察権力が時の政権の意に沿わないと判断し排除することは政治弾圧そのもの」と指摘した。

 

 立憲民主党道連も18日、道警に再発防止を申し入れ、「公権力の乱用。どこでも思いを声にすることが保障されるべきだ」(道下大樹副代表)と批判。自由法曹団道支部(佐藤哲之支部長)と市民団体「国民救援会道本部」(守屋敬正会長)も19日に「表現の自由の不当な制限」と抗議した。

 

 安倍首相による街頭演説や移動など複数の場所での排除行為が目撃されているが、道警は札幌駅前の演説で「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げた男女2人を移動させた事実を認めている。興奮状態で大声を出し、周囲との衝突が予想されたとして、「犯罪やトラブルの未然防止。声かけをして移動させた」と説明している。ただ、排除行為が全体で何件あったかや今回の対応の法的根拠について「事実関係を確認中でコメントできない」としている。