Image: Albert kok (Wikimedia Commons)

海と空、どうつながった?

 

科学者たちがアメリカ・ミシシッピ州とアラバマ州の境の海に生息するサメの数の観察をしていた2010年。赤ちゃんサメにタグをつけようとしたところ、不思議なことが起きました。ぴゅっと吐き出したのが「鳥の羽根」だったのです。DNA分析をしたところチャイロツグミモドキという渡り鳥の羽根でした。

 

海の中に生きるサメのお腹の中から鳥の羽根?ということでさらなる調査をすすめると、サメのお腹の中にかなりの比率で鳥の残骸が出てきたのです。驚いたことに、水面や水辺で生活する水鳥はたった1種類で他は全部野鳥。Ecologyというジャーナル誌で発表された研究では、食物網というのは私たちが思っている以上に複雑なもので、今回の発見によってサメの行動も読めてくる可能性もあると書かれています。

Image: Ryan F. Mandelbaum

科学者たちは2010年から2018年までイタチザメの胃の内容物を分析。すると105頭のうち41頭の胃の中で、2014年を除いて毎年鳥の残骸が見つかったとのこと。41頭のうち19頭が赤ちゃんサメだったそうです。見つかった鳥の種類は11種類。アメリカで一般的に見られる渡り鳥たちでした。

 

空を飛ぶ鳥をどのようにサメが食べているの?って思いますよね。科学者たちも同じ気持ちでした。それぞれの種をデータベースで調べ、どんな時期にイタチザメがいる湾を飛んでいるのかを割り出しました。すると2種の鳥を除き、渡り鳥が移動する秋に、サメのお腹に鳥の死骸があることが判明したのです。

 

しかしその鳥たちがどうして海に近づいたのかは、明らかではありません。天候が悪く、飛んでいる時に海に落ちてしまい、泳ぐことができないため死んでしまったと科学者たちは考えているようです。確かにそれなら、水鳥がサメのお腹でたくさん見つかっていない理由も道理が通るような。水鳥なら海の上で逃げられますからね。野鳥は泳げないので、そのままサメに食べられちゃいます。

 

赤ちゃんサメのお腹に野鳥が多いことも、たぶん海で溺れ死んだ野鳥ならまだ捕獲スキルのない赤ちゃんサメでもパクっと食べるだけなので、それも道理が通りますね。地球の生き物食物網、偶然なのか必然なのか、よくできてる!