塩のかわりに酢を活用するといい(写真/PIXTA)

 人体で最大の“臓器”ともいわれる血管は、あらゆる体の不調と密接なかかわりを持っている。「人は血管とともに老いる」は、医学界では決まり文句になっているという。工藤内科副院長の工藤孝文さんが言う。

 

「加齢や生活習慣の乱れによって、血管が硬くなると心筋梗塞や高血圧を引き起こすリスクが高まり、最悪の場合死に至る可能性もあります。また、血液がドロドロになって循環が悪くなると、体の隅々まで栄養や酸素が届かなくなる。栄養が行き渡らなくなった結果、細胞や脳の老化が進み、がんや認知症を発症する原因にもなりかねません」

 

 血管にとって大敵なのが塩分の摂りすぎだ。千葉県循環器病センター医師の平井愛山さんによれば、日本人は塩分摂取過多の傾向があるという。

 

「塩分を多く摂ると血圧が上昇し、血管に負担をかけてしまう。女性の方が塩分による血圧の上昇幅が大きいこともわかっているので、特に女性は要注意です。

 また、塩分摂取量が多い人ほど血糖値や中性脂肪値が高くなることもわかっています。生活習慣病を防ぐためにも、塩分の摂りすぎに気をつけて」

 

 そこで賢く使っていきたいのが、えごま油や酢といった血管にいい調味料だ。金沢医科大学准教授の赤澤純代さんが言う。

 

「えごま油は“オメガ3系”と呼ばれる油で、体内でいわしやさばなどに含まれるのと同じEPAやDHAに変換され、動脈硬化を防ぐ働きをします」

 

 ただ、オメガ3系の油は加熱に弱いので、えごま油を使うならドレッシングに置き換えてサラダにかけて食べるのが効果的だ。風味も豊かなので、減塩につながるだろう。

 

 酢も同様だ。

 

「酢の主成分である酢酸は体内でアデノシンという物質に変わり、血管を収縮させる酵素の働きを阻害して、高血圧を防いでくれます。また、酢酸には血糖値や悪玉コレステロールを抑える働きもある。穀物酢、米酢、黒酢、りんご酢、バルサミコ酢など種類が豊富なので、料理に適した酢を使い分けるといいですね」(医学博士の平柳要さん)

 

◆お・さ・か・な・す・き・や・ね

 

 せっかく血管にいい食べ物を選んでも、食べ方が間違っていれば効果は半減だ。南和友クリニック院長で心臓外科医の南和友さんが解説する。

 

「食事をする時は“まず野菜から”を徹底しましょう。ご飯を先に食べると血糖値が一気に上昇し、大量のインスリンを放出する。その結果、体が中性脂肪を蓄えようとして、肥満や高血圧につながります」

 

 糖尿病になると血糖値の高い状態が続いて血液がドロドロになり、血管が傷ついて動脈硬化を引き起こしやすくなるという。

 

 また、いくら体にいいといっても同じものばかり食べては意味がない。

 

「お(お茶)・さ(魚)・か(海藻)・な(納豆)・す(酢)・き(きのこ)・や(野菜)・ね(ねぎ)を合い言葉にバランスよく食べてください。これらの食べ物はどれも動脈硬化を防ぎ、血管力を高めてくれるのです」(南さん)

 

 血管にいい食べ物を上手に取り入れて強い血管を作りたい。

※女性セブン2019年4月25日号