ヨーロッパ史を学ぶと必ず出てくるハプスブルク家。

神聖ローマ帝国の皇帝をたくさん出したことで有名ですね。


そんなハプスブルクですが、その偉業以上に知られていることがあります。


それは、アゴが出ているということ。


領土を拡大したり、他国との戦争に勝ったりと、もっと知るべきことはありそうなのに、なぜか語られるのはアゴのことばかり。日本人はもっと世界史を学ぶべきだと思います。


それにしても、なぜアゴが出ているのか?

これについては、なんと立派な本まで出ていますが(『ハプスブルク家700年の顔の変化 下唇突出の家系』)、どうやら近親婚を繰り返したのが原因だと言われています。


そんなハプスブルク・ファミリーが描かれた作品があるというので、見てきました。

場所はウィーンにある美術史美術館。ブリューゲルの『バベルの塔』や、フェルメールの『絵画教室』などの名作もあることで有名なミュージアムですが、今回最も観たいのは、何と言ってもハプスブルク。というか、アゴ。


それではご覧ください。




見れば見るほど、ジワジワ込み上げてきます。 


タイトルには『皇帝マクシミリアンの家族』と書かれています。このマクシミリアン1世という人は、自分はもちろん、息子&娘にも政略結婚をさせて、どんどんハプスブルク家の領土を広げていきました。ちなみに、絵では左上の人物。あまりアゴは出ていません。


そのまま後列を見てみましょう。

真ん中はフィリップ美公で、右の女性はマクシミリアン1世妃のマリア。

フィリップ美公というのはマクシミリアンの息子。さすが“美公”というだけあって、スッとした鼻筋にぷっくりした唇。なかなかのイケメンです。


続けて前列3人の子どもたち。

右の子は男か女かも分からないそうです。

残りの2人はマクシミリアンの孫でどちらも主役級。

左がフェルディナント1世。

右がカール5世です。

この2人がそれぞれ、オーストリアとスペインを支配することになり、ハプスブルク家は二つに分かれていくのです。


それにしてもカール5世のアゴはすごい。

カール5世はスペイン絶頂期の王なのでたくさん肖像画が描かれていますが、大人になってからの絵だとヒゲがあるので、ちょっとはごまかせます。

しかし、子どもの姿ではそれができないので、思いっきり突き出ていますね。


この屈託のない笑顔の少年が、のちに「太陽の沈まない国」の皇帝になるんだから、歴史は面白いですよね。


最後に、引きの写真も載せておきますね。