先日、子供と一緒に自転車で繁華街を走っていた時のことです。道端で高齢の男性が倒れているのに遭遇しました。
一見すると酔っ払いのようにも見えましたが、どこか違和感を覚えました。服装はしっかりとしたウォーキングスタイル。声をかけてみると、わずかにお酒の匂いはするものの、意識が朦朧としており、反応が非常に鈍い状態でした。
「これは単なる泥酔ではないかもしれない」
そう判断し、すぐに救急車を手配することにしました。小学生の子供たちも一緒だったので、近くの商業施設の店員さんに「警備員さんを呼んでください」と依頼。救急隊が到着するまでの間、自分で手首の脈を確認したところ、一応の拍動は確認できました。
しかし、今思い返すと、私の対応は本当にベストだったのかと自問自答しています。
■ 脈拍確認の難しさとAEDの判断
後で調べて分かったことですが、素人が腕で脈を取るのは非常に難しく、正確ではないケースも多いそうです。もしあの時、私の確認が誤りで、実際には心停止に近い状態だったとしたら……。そう思うと、すぐにAEDを手配しておくべきだったのではないかと後悔が残ります。
救急車が到着したのは、要請から約9分後でした。全国平均の約7分半より時間がかかったのは、繁華街という立地ゆえでしょう。この「空白の9分間」に何ができるかが、命の分かれ目になります。
■ ペニンシュラ東京で見た「究極の安全体制」
この出来事を通じて思い出したのが、以前、日比谷の「ザ・ペニンシュラ東京」で経験した出来事です。
ホテルのトイレで誤って緊急ボタンを押してしまった際、驚くべき速さでスタッフが駆けつけました。しかも、単に様子を見に来るだけでなく、救急用具が詰まった大きなバッグを背負い、即座に応急処置ができる体制で現れたのです。
ペニンシュラは客室のバスルームにまで緊急ボタンが設置されています。都内の多くの高級ホテル(リッツ・カールトンなど)を見てきましたが、ここまで徹底した安全体制を敷いているホテルは稀です。海外のVIPや秘書がペニンシュラを優先して選ぶ理由が、その時、肌身に染みて理解できました。
■ 「配置されている」だけでは足りない日本
今回の現場となった商業施設では、警備員さんに伝えても、即座にAEDを持ってくるような動きは見られませんでした。
日本は世界的に見てもAEDの設置台数が多い国です。しかし、救命率が必ずしも高くないと言われる理由は、今回の私や周囲の対応のように「いざという時にAEDを手に取る」という文化や体制が、現場レベルで浸透しきっていないからではないでしょうか。
今回の経験は、私にとって大きな教訓となりました。次に同じような場面に遭遇したら、迷わず「AEDを持ってきてください」と周囲に叫べる自分でありたいと思います。