前回書き込みの続きです。

 前回はピストンとバルブとのクリアランスとその対策をお話しましたが・・・・

 横型エンジンに限らずですが、クランクシャフトの中心からカムシャフトの中心までの距離はノーマル、88ccなど
 決まっているのが普通です。

 要するにシリンダーの長さ、ガスケットの厚み、ヘッドに付くカムシャフトの位置は純正と同じでなければならない
 っと言う事です。

 これはカムチェーンの長さがノーマルや88ccなどは82リンク(コマ)と同じ長さの物を使用しているからです。
 シリンダーやガスケットの厚みなどが変るとクランクシャフトからカムまでの距離が変ってしまい。
 距離が変る事でカムタイミグと言われるタイミングが変ってしまうからです。

 このカムタイミング、バルブタイミングとも言いますが、このタイミングが変わるとエンジン特性が変化したり
 バルブとピストンが接触するなどの不具合が出てきます。

 良く圧縮を上げるために薄いヘッドガスケットに変えたりシリンダーヘッドの下部面を面研、要するに削ったりす
 る方がおられます。

 一番多いのはやはり厚いガスケットから薄いメタルタイプと言われるガスケットに交換される方が多いです。

 通常のガスケットは1.0mmが多いですが厚手の物でも0.8mmと言う物も有ります。
 メタルガスケットの場合は0.3mm、中には0.25mmと言う物も有るようです。

 前記事でお話しましたが厚手の物からメタルに交換する場合は必ずオイルリターン穴のOリング等の対策が
 必ず必要になります。

 合わせてバルブとピストンとのクリアランス、バルブタイミングの測定が必要になります。
 

 話横道にそれましたが・・・(笑)

 今回の某88ccキットでの不具合ですが。

 ガスケットの問題は前回書き込みしましたが、他の不具合としてはやはりバルブタイミングが微妙にずれて
 いました。
 一応走る事に関しては普通に走れる範囲ですが、いざ速く走る、パワーを求めると言う事に関しては・・・・
 (滝汗)ですかね。

 おそらく最初の設計? が厚手のガスケットでの物からメタルタイプのガスケットに何らかの理由で変えて
 販売をしているのかと思います。

 結果シリンダーと付属のメタルガスケット、Oリングの組み合わせが全然合わないと言う重大な不具合が
 今回分りました。

 他には、12Vエンジンでは問題有りませんが6Vエンジンにこのキットを取り付ける場合はキット付属品以外に
 右側ヘットカバー(12V用)が必要です。

 このキットに付属しているシリンダーヘッドは12V専用の物を流用しているため元々付いている純正右カバー
 は6V専用のため付きません。
 なので別途右カバーが必要になります。(ガスケットも違います)

 知らずにキットだけ購入して組み付けすると最後にカバーが合わないと言うどんでん返しを食らいます(笑)


 88ccでもオイルクーラーは必要なので、右カバーは12V用オイルクーラー取り出しタイプを別途購入すれば
 良いと思います。

 メーカー物では無くてもオイルクーラーは取り合えずOKだと思いますのでヘットカバー取り出し口付きの
 オイルクーラーセットを購入お勧めします。

 
 
イメージ 1


 こんな感じの取り出し口付きの右カバーが良いと思います。

 ちなみに、ヘッド右カバーは国産でも中華でも同じです(笑)


 世間では良く「88ccならオイルクーラーは必要ない・・・」などとアホな事を言う人いますが私的には絶対に
 オイルクーラーは必要不可欠だと思います。
 ただし、冬場の寒い時期なら有る程度なくても走れますが付けておくにこした事は無いと思います。

 88ccのヘッド付きボアアップキットを装着する場合、オイルクーラー、タコメーター、油温計は最低でも
 必要なパーツです。

 付けずに走ると必ず不具合が発生する可能性はかなり大きいと思います。

 チューニングエンジンには必ず必要なアイテムだと言うことでしょうか・・・・

 
 他には、このキットに付属しているハイカムですが、かなりのハイカムなので知らずにエンジン回してしまうと
 1万回転は軽く回ると思われます。

 実際にテストをしていないので分りませんがあまり回しすぎるとバルブとピストンが接触してしまいエンジン
 ブローになりかねません。

 大きな理由は、私の場合付属するシリンダーヘッドにはバルブとバルブスプリング等が最初から踏み込まれて
 いますがバルブのすり合わせを必ずしますので一度全部バラしています。
 当然バラした時にバルブスプリング単体になりますので硬さ等を見ています。

 このキットの場合バルブスプリングが柔らかいので有る程度高回転まで回すとバルブサージングと言う現象が
 発生して出たバルブが戻り切る前にピストンが上がってきてしまい接触すると言う現象がおきやすいです。

 ましてバルブとピストンのクリアランスが狭いのでさらに危険です。

 もしポン付けした場合私なら1万回転以上は回さないと思います(笑)


 通常メーカー製キットの場合バルブサージンぐが何回転で発生する等のデータをテストして把握していますが
 このキットは販売店、要するにメーカー製では無いのでそんなデータはおそらく取っていませんので要注意
 と言う所です。

 ちなみに、某メーカー製のキットでも12000回転以上回さないでと取り説に書いて有ります(笑)

 
 まとめ・・・

 6Vエンジンにここのキットを装着する場合、ヘッドガスケットとOリングの対策をする。
 ヘッド右カバー、12V用とガスケットを用意する。
 
 合わせて、オイルクーラー、タコメーター、油温計を装着する。

 出来る方はバルブタイミング等の測定をして調整、対策をする。


 今回某販売店の88cc6V用キットを装着して見ましたが色々な不具合が発生したので記事にして見ました。

 私的には良く出来たキットだと思いますが肝心な部分がお間抜けでしたので笑いました。
 このキットを手がけるのには有る程度の技術と知識が必要と言うところでしょうか(笑)


 これから購入等検討されている方に参考になればと思います。

 以前から申していますが、細部データやパーツ番号等の質問には基本お答えしていません。
 文面をよく読めばおおよそ分ると思います。
 もし分らない方はメーカー製のちゃんとしたボアアップキット等を購入されて見てください。