Kobayashi8081_2 大阪は連日、厳しい猛暑が続いています。今年の夏は息子達がサッカー合宿や試合などで忙しく、海水浴や家族旅行は無しとなりました。また、あまりの暑さに近代建築探訪などの遠出もせず、私は朝食前のランニング(7~16km)、サッカーの応援や見学、レトロ喫茶店めぐりなど近場の夏を楽しんでおります。そんな一夜、ザ・シンフォニーホールに小林研一郎指揮/大フィルの「3大交響曲の夕べ」を聴きに行ってきました。

毎年恒例のこの夕べ、本来の会場であるフェスティバルホールが建て替え工事中のため、20回目となる今年は(昨年度に続いて)ザ・シンフォニーホールでの開催となりました。

プログラムは、

  ①シューベルト   「未完成」
  ②ベートーヴェン  「運命」
  ③トヴォルザーク  「新世界より」

という超有名な3曲です。大昔、それこそ約20年前にこの夕べを聴きにいこうとしたものの、当日他の用件とバッティングしてしまい、同じ会社の人にチケットを譲ったことを覚えています。実は今回も行けるようになったのは10日前で、その時点ではあまり良い席が余っておらずあきらめかけていたのですが、何とオークションで良い席を定価よりもグンと安いお値段で入手することができました(Oさん、どうもありがとうございました)。「運命」と「新世界より」は何度もコンサートで聴いていますが、意外にも「未完成」は初めてか2回目のはずです。またコバケンさんと大フィルの組み合わせも昨年”炎のタクト 英雄交響曲”を聴いて大感動したので、期待大でした。

そして、当日のコンサートは期待に違わぬ超熱演となりました。いやはや、指揮者のコバケンさんの煽ること煽ること!オケもまたそれに応えて乗ること乗ること!指揮者もオケももの凄い集中力で、1曲目の「未完成」から超ロマンティックにして超ドラマチックな熱演でした。途中の哀愁に満ちた旋律も素晴らしかったです。

久々に聴いた2曲目の「運命」も新鮮でした。第1楽章の有名な冒頭は予想よりも速めのテンポだなと思ったのですが、十分に伸ばすフェールマータも素晴らしく、木管ソロの登場も絶妙。ゆったりとした第2楽章とのテンポの対比も見事でしたし、全体的に緩急自在&強弱の差も大きく、「英雄」のときと同様に私好みの演奏で感激しました。

第3楽章のホルンの強奏も見事でした。この楽章ではいつもホルンの出だしにドキドキするのですが、音は大きく美しく、迫力たっぷりで大満足。フィナーレはひそやかな経過句(?)から総奏によるド迫力の音の爆発(金管の咆吼!)が凄かったです。きっぱりとしたコーダも素晴らしかった。。。

休憩時には今日のコンサートは凄いといった感じの空気が会場中に広がっていました。

「新世界より」は第2楽章のイングリッシュ・ホルンが奏でる”家路”とも呼ばれるメロディが、ゆったりと伸びやかな中にしっとりとした哀感もあってとても良かったです。昨年11月に聴いたブルノ・フィルのときは、”家路”の部分よりも”その後の中間部(弦のさざ波に支えられた木管の寂寥感をたたえた旋律、コントラ・バスのピチカートに乗って奏でられるクラリネットの旋律・・・by宇野功芳)がとても印象的”としたのですが、コンサートによって印象に残る部分が異なるのが面白いですね。そういうことを感じたり考えたりするのも実演の醍醐味です。第2楽章を終えて、いったん指揮台を降りて長めの小休止を取られました。第1楽章・第2楽章とかなり気合いの入った指揮ぶりだったということでしょうね。

第3楽章?チェロのピチカートとそれを支えるひそやかなヴィオラの揺れ。そして、心が打ち震える勇壮なメロディで始まる怒濤のフィナーレも素晴らしかったです。最後、木管の弱音が消えて・・・コバケンさんの腕がおりる前に拍手が起こったのはちょっと惜しかった気も。あと2秒くらい待ってから拍手が始まり、ブラボーの声と共にそれが次第に大きなうねりになっていく感じがほしかったような気もします。まあ、これは個人的な希望ですが。

コバケンさんと大フィルは実に良い関係を築いておられるようですね。コバケンさんのお人柄もあるのでしょうが、各楽章が始まるときに(特に低音弦パートに)よろしくお願いしますと頭を深く下げるような感じやステージ上を動き回ってオケメンバー全員を讃える姿が素晴らしかったです。また、コバケンさんがコンマス氏に、”さあ皆さんを立ち上がらせて拍手喝采を受けてくださいよ”という感じで腕を動かすのに対して、コンマス氏がにこやかに同じポーズをとって”先生こそ答礼をして万雷の拍手を受けてください”というようなやりとりをされたのが実に微笑ましく、聴衆もこういったやりとりを笑いも交えながら楽しそうに拍手をし続けました。最高の雰囲気です。

この日のコンマスの崔文洙(チェムンス)さんの演奏ぶりも凄かったです。第一プルトは元々動きが大きいとは思いますが、もの凄い上半身の揺れと腕の動きでした。弾ききったあとの大きく腕を広げたポーズの凛々しいこと。割と状態をそらして演奏されることが多く、椅子から飛び上がりそうな激しい動きもあって、後ろにひっくり返らないかとちょっとドキドキしました。

アンコールは定番の「ダニーボーイ」でした。低音弦から高音弦へ渡された音色の何とまあ美しいこと。極上のアンコールピースですね。

この日の選曲であれば、クラシックにあまり詳しくない人でも十分に楽しめると思いますし、来年は夫婦で行ってもいいなあと思いました。

この日のコンサートは、プログラム、指揮、演奏、聴衆の反応、コバケンさんとチェムンスさんのサービス精神・・・と全てが素晴らしかったと思います。今回はH列とかなり前方で、オケの後方メンバーの顔はよく見えなかったものの、音の分離感が鮮明で、コバケンさんの表情や唸り声などもよく分かって臨場感たっぷりでした。楽器で印象に残ったのは、ティンパニ、クラリネットトップ、オーボエトップ、イングリッシュホルン、ピッコロ、ホルンなどです。勝手なこと言ってスミマセン。もちろん、弦は終始安定感がありましたし、ひそやかなひそやかな最弱音やチェロ・コントラバスのピチカートも素晴らしかったです。また、弦に支えられて奏でる木管のソロはさぞかし気持ちの良いものなんだろうなあなどとも感じました。

ただ、1つだけ残念だったのが、「運命」の第4楽章、ひそやかな部分で聞こえた携帯のアラーム音(?)です。なかなか鳴りやまず、20秒近く続いたのではないでしょうか。聴衆もみんな怪訝そうにそちらを見ますし、コバケンさんもコンマスも 「ん?」といった表情をされたように思います。うっかりと切り忘れた本人が一番驚いて、なかなかうまく切ることができず焦られたとは思いますが。。。

◎参考ブログ

   マーサーさんの”マーサーのお気楽日記”(2010-8-10追加)
   jjunsukeさんの”走れ! ピアニスト”(2010-8-26追加)

  東京での読売日響との3大交響曲も素晴らしかったようです。

   クラシカルちゃんぷる~ブログ(2010-8-26追加)
   大神田俊郎さんの”隠居通信(大神田俊郎の音楽雑感他)(2010-8-26追加)
   緒形まゆみさんの”緒形まゆみブログ”(2010-8-26追加)
   rin_ozさん(?)の”Hip to be square!”(2010-8-26追加)