今月の「関西 洋風建築めぐり」講座(講師:川島智生先生)は香里園の聖母女学院でした。

1923年(T12年)に大阪市玉造に開校した聖母女学院は、1932年(昭和7年)に寝屋川市香里園に新築移転しました。設計はチェコ出身のアントニン・レーモンドで、講座でのレーモンド建築は以前に小林聖心女子学院を見学しています。聖母女学院も以前に門の外から正面玄関部のみ眺めたことはありますが、内部の見学はもちろん初めてです。

P1360580_t P1360586_t

正面から見た限りでは玄関周りは様式建築風ですが、半円アーチの回廊にはスパニッシュの味わいもあります。しかし、遠目からはそれ以上を想像することは難しく、今回内部を見学させて頂いて、平面構成・構造・デザインなどの多様性に驚くことになりました。

P1360593_t P1360608_t P1360609_t  P1360624_t P1360615_t 

玄関部から内部を見ると、まず床一面のタイルに目をひかれます。3種類の小ぶりなタイルの組み合わせですが、華やかさと落ち着きがあります。壁(付け柱?)や天井面も玄関ホール部という性格上か、なかなか凝った造りになっています。そして、さらに奥を臨むと・・・幅が広く(目測で3.5m)高さもたっぷりある廊下が真っ直ぐに延びています。これは凄い!奥行きは何mあるのでしょうか。150mくらい?長すぎて奥の方はよく見えません。床面には大判の矩形タイル(? 石調の床材?)が敷き詰められ、デザイン的にも見事です。この眺めは圧巻ですね。玄関部からこの廊下が真っ直ぐに延び、これが軸線となって(上の写真の矢印)、それに直行する形で複数の校舎棟が張り出すフィンガータイプと呼ばれる平面計画になっています。私はこのような校舎配置を見たのは初めてです。

P1360637_t P1360640_t P1360668_t P1360658_t

いったん外に出て敷地の奥に進んでいきます。前庭は小さな噴水を持つ池があったりで伸びやかです。校舎を眺めると、軒や窓上には控えめながらもしっかりとした装飾が施されています。階段部に斜めに配置された窓はリズミカル。そして、とても印象に残ったのがコンクリート打ち放し仕上げの雨天体育室(でしたでしょうか)です。柱・梁の構造が実によく分かります。構造は鉄筋コンクリート造ではなく、リベットで接合されたアングル(L型鋼)+フラットバー(平鋼・帯鋼)の周囲にコンクリートを流し込んだSRCとも言えるものだそうです。周囲4面の内、2面は全面ガラスの大開口で、光を大胆に取り入れるようになっており、内側からの眺めも素晴らしいですね。柱スパンが広く、この大開口部は地震の際に構造強度的にやや弱いともいえますが、残り2面が壁なので、そちらで耐えるという考え方だろうとのことでした。ここは80年ほど前の最も初期のコンクリート構造ですが、その構造美は素晴らしく、私は今見てもカッコイイと思いました。

P1360683_t P1360698_t P1360704_t

再び内部です。階段部のデザインが良いですね。全体的に階段や廊下の幅が広く、昇降や歩行しやすいように思いました。床はデザイン・色合い・質感が素晴らしいのですが、金色の目地部も幅をきちんと使い分けていて見事です。

そしてチャペルへ。ここも素晴らしかったです。全体的にはモダンな感じで、折れ板状になった天井、側面上部の色ガラスを用いたステンドグラス(というのかなあ。。。)、寄せ木細工の床などが特徴でしょうか。明るく、柔らかな光が注いでいました。

P1360737_t P1360757_t P1360740_t

敷地外から見ていた限りでは、内部にこのような素晴らしい空間が広がっているとは思いもよらず、今回も驚きと感動の見学となりました。案内して下さった聖母女学院の皆さん、引率・解説の川島先生、ありがとうございました。

◎参考ブログ:

   yumeさんの”京都ひとり歩き - yume_cafe -”