良かったです。TVのガリレオシリーズとは異なり、湯川(福山雅治)の出番は少な目&ユーモア部分は抑えめで、石神(堤真一)と花岡靖子(松雪泰子)の愛(石神からの一方的な愛、不器用で切ない愛)と犯罪に力点が置かれていました。小説の他のガリレオシリーズを読んでいないので何とも言えないのですが、「容疑者Xの献身」については原作通りで、その意味では原作にかなり忠実な作品といえます。柴咲コウはほんの顔見せ程度でしたね。
<原作を読んだときの感想はこちら>
映画を観る前、堤真一の石神役はイメージに合わないのではと危惧していたのですが、なかなかのハマリ役でした。ボサボサの髪の毛、いつも同じようなセーターを着てマフラーに顔をうずめ、背中を丸めてトボトボ歩く姿が印象的。生気のない目の表情もとても良かったです。今年「クライマーズ・ハイ」と「容疑者Xの献身」という話題の2作品に出演したこともあって、これから各種の映画賞でどのように評価されるか楽しみです。
【注:以下、ネタバレあり】
石神が隣に引っ越してきた明るく仲の良い母娘に生き甲斐を見いだしたシーンは、当然映画でも描かれていましたが(母娘の会話を壁越しに聞き、開け放した窓から聞こえてくる声に耳を傾けたり・・・)、このシーンはもうちょっと多くても良かったような気がします。ネットでどなたかが書かれていたのですが、母娘がWiiで一緒に遊んでいるシーンは今風と言えるものの、ちょっと違和感がありました。それよりも例えば、二人で休みの日にお菓子やケーキづくりをしていて、「焼きすぎちゃった!」という声が聞こえてきたり、ボウルをひっくり返してキャーキャー言うようなシーンの方が良かったのでは?ありきたりのシーンになるのかな?でも、そういった平凡なシーンにこそ石神は生きていることのささやかな喜びを感じていたようにと思います。
TVのガリレオシリーズを見て、柴咲コウが出てくるシーンや湯川が急に数式を書き出すシーンにひかれて映画を観た人にとっては、映画はちょっと物足りなかったかもしれません。その意味で、映画は妙な媚びというか安易に観客を呼び込もうという作り方をしていなかったのが好ましかったです。まあ、堤真一の起用は観客動員の目的もあったとは思いますが。
今回、良い出来の映画だと思うと共に、東野圭吾の原作が素晴らしかったことを再認識しました。数学の面白さ・奥深さは案外原作よりもうまく描けていたような気もします。原作にもあったと思いますが、論文の内容をチェックしてほしいと石神の家に訪ねてきた湯川。「これはちょっと時間がかかるぞ」と言いながら徹夜でそれに取り組む石神。
留置所(拘置所?)の天井を見つめる石神。そこに4色問題の絵が広がっていく。これらのシーンは良かったです。このあたりはやはり映像の強みでしょうか。
松雪泰子と娘・美里役の金澤美穂も良かったですね。娘の優しさ、石神に対する想いなどもほぼきちんと描かれていたのですが、重要なエピソードが1つ映画ではカットされていました。原作でも記述はわずかなのですが、そこに美里の気持ちがよく表れていたのになあ。。。
他の俳優では、ダンカン演じる工藤だけはちょっと・・・。原作ではもっと嫌らしいというか、優しいようでいて、靖子が置かれた状況につけこんだ感じがもっと表れていたような気がします。決して悪いということはないのですが。
この映画はシネマスケープでも平均3.8~3.9と評価は高いですね。ぜひ劇場で見てください。オススメです。
◎参考ブログ
そらさんの”日だまりで読書”
