Souja1 獣の奏者・闘蛇編(講談社)
★★★★☆’:85点

小野不由美さんの「十二国記」シリーズやジブリ映画で有名な「ナウシカ」を彷彿とさせる、少女を主人公にした異界冒険ファンタジー小説&成長物語で、本の雑誌・2007年上半期のベスト10で堂々の1位に輝いた作品です。しかし、私は作者の上橋菜穂子さんの名前を全く知りませんでした。

私が読んだのは闘蛇編のみで、王獣編(これも既刊)に続くようです。闘蛇編は王国や村、習慣などの背景説明、主要人物紹介を含む序章または問題提示といった位置づけのようでもあるので、点数は85点どまりとしましたが、冒頭から緊張感があふれ、読者をグイグイ引き込みます。「十二国記」シリーズの方がスケールの大きさや国などの設定の破天荒さ・ユニークさ、宮殿の造形美などでは(今の所は)上と思いましたが、この作品にはまた別の不思議な静かさや謎があり、素晴らしいです。また、闘いには不可欠の獣・闘蛇の造形が見事。

【注意:以下ネタバレあり】

闘蛇衆(闘獣使い)だった母の死後、半死半生のところを蜂飼いのジョウンに助けられたエリン(主人公です)。実の父娘のように暮らすあたりの雰囲気がほのぼのとして良いです。日々知識を吸収するエリンの聡明さ、生き物に対する優しさと特異な能力に気づくジョウン。その二人の教える喜び・学ぶ喜びの描写も素晴らしい。全体的に緊張と緩和のバランスがうまくとれていますね。

アーリョ(霧の民、本当はアォー・ロウ:戒めを守る者の意)の秘密<操者ノ技>とは?神王国を滅ぼそうとする者の暗躍とそれから真王を衛る「堅き盾」の健脚イアル。彼らはこの後どうなっていくのだろうか。野生の王獣と飼い慣らされた王獣は何が違うのか。類い希な才能を見せ、王獣保護場で学ぶことになったエリンはその謎を解き明かすことができるのか?王獣編への期待絶大です。

***************************** Amazonより *****************************

上橋菜穂子待望の長編ファンタジー
けっして人に馴れず、また馴らしてもいけない獣とともに生きる、宿命の少女・エリン。
母が指笛を吹き鳴らしたとたん、奇跡が起こった。だが、その奇跡を、母は「大罪」と呼んだ……。
獣ノ医術師の母と暮らす少女、エリン。ある日、戦闘用の獣である闘蛇が何頭も一度に死に、その責任を問われた母は処刑されてしまう。孤児となったエリンは蜂飼いのジョウンに助けられて暮らすうちに、山中で天を翔ける王獣と出合う。その姿に魅了され、王獣の医術師になろうと決心するエリンだったが、そのことが、やがて、王国の運命を左右する立場にエリンを立たせることに……。