ラスト・イニング(角川グループパブリッシング)
★★★★☆’:85点
かの名作「バッテリー」(1~6 ※その中でも特に6)の番外編、あるいは、「もうひとつのバッテリー」とも言える作品です。
ラストシーンが印象的だった「バッテリー6」。新田東中vs横手二中、海音寺と瑞垣が実現させた試合の結果は一体どうなったのか。巧と門脇の対決は・・・。みんなが息を呑んだあの門脇のスイングは・・・。彼らはその後どうなったのか・・・。読者に色んなことを想像させながら大団円を迎えた物語が瑞垣の目を通して再び描かれる。
もし、あさのあつこさんが今後「バッテリー」の続編を書かれないとしたら(たぶん続編はありえないと思いますが)、「バッテリー」について語るにはこのような異なった視点での描き方しかないのかもしれませんね。知りたかったことの全てが語り尽くされた訳ではありませんが、素晴らしい作品になったと思います。こうなると、サワ(沢口)やヒガシ(東谷)から見た巧や豪のその後なんてのも読みたくなってきますね。
いずれにしても「バッテリー」に夢中になった読者としては、原田巧、永倉豪、瑞垣俊二、門脇秀吾、海音寺一希といった懐かしい名前が出てくるだけで、”ああ、バッテリーの世界や!”と嬉しくなると共に感慨にふけってしまうこと間違いなし。また、本作では瑞垣の妹・香夏(かな)も重要な役割を演じています。可愛らしさの中のドキッとする成長ぶりにさすがの瑞垣も守勢一方。そこにとある人物がからんできて思わずニヤリ。横手の新バッテリー、ぽわーんとして明るい萩と瑞垣の秘蔵っ子で(?)真面目な城野もいい組み合わせです。
バッテリー・個人賞選定で私が助演男優賞を贈呈した瑞垣俊二(次点は僅差で海音寺一希)がこの作品の主人公です。バッテリー5の感想では、「瑞垣の生き方もしんどいやろなあ」と書いたのですが、この本では瑞垣の生き方の苦しさが一段とよく描かれていました。
そして、門脇でも海音寺でもなく、むろん唐木や池辺でもなく意外な人物が瑞垣の心の内(本人も気づかないまま心の奥底に潜んでいた思い)を一番理解していた驚き・・・。瑞垣は新たな一歩を踏み出すことができるのか。自分で作ってしまった壁を超えることができるのか。
巧や豪が出てくるシーンは少ないのですが、彼らが門脇や瑞垣や海音寺、そして横手ナインや監督に与えた衝撃と影響の大きさ・もの凄さが間接的に描かれます。この描き方が見事。
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出版社/著者からの内容紹介
大人気小説「バッテリー」。あの伝説の試合がここに──!!
全国劇場公開される人気小説「バッテリー」。その中でも屈指の人気キャラクター・瑞垣の目を通して語られる、巧、豪、門脇らのその後とは──。ファン待望の小説がついに登場!!
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◎参考ブログ:
やまわきさんの”いろいろ感想文”(2007-3-30追加)