永遠の出口(集英社)★★★★:80点
読み終えてから2週間近くが経ち、また、その後に読んだ「秘太刀馬の骨」と「凍える牙」が非常に良かったので、この作品の印象が薄まってしまった。実は当初の採点は85点。
序盤は、少女の仲良し世界にゃついていけん、北上次郎氏が絶賛するほどの出来かなと感じていたのだが、紀子がワルくなりだしてから俄然面白くなった。
友達もヒロのようなちょっとワルい娘が魅力的だった。
彫りの深いハーフのような顔立ちの美少女。
美少女のわりにモテなかったのは、眉を剃ったり制服のスカートを引きずったり
していたからだろうが、それでも「顔さえ良ければOK」というチャレンジャーが時々
彼女の前に現れては、玉砕していった。
連作短編集といった感じになっているのだが、家族4人での旅行を描いた「時の雨」がベストか。
実は父母に危機が訪れていて(父の浮気)、何とかそれを解決しようとした姉が、かつて両親が新婚旅行で行った土地に誘うのだが・・・。
父の語りかけにも完全にそっぽを向く母。夕食をすませると部屋の両端で互い背を向けて、さっさと寝床に入ってしまった二人だったが、ホテルで非常ベル騒動があって。。。
父はこのアクシデントに乗じてなかなかうまくやった。
「しかしまあ、せっかくこうして起きたんだから、ちょっと一杯やりますか」
「え」
「ほれ、ほれ。まだ夜の十時半じゃないか」
・・・・・・
(翌朝の母)
「あら、紀子、起きてたの」「・・・朝風呂もなかなか良いものよ」
健やかな笑顔だった。
大人はたくましい、と思った。
このシーンが出色。読んだ人にしかこの良さは理解できないやろなあ。
紀子のひとつの到達点が描かれているエピローグも余韻があってgood。
「・・・というのは嘘で」が2回、面白かった。
だけど、私は元気だ。まだ先へ進めるし、燃料も尽きていない。
あいかわらず躓いてばかりだけれど、その躓きを今は恐れずに笑える。
このエピローグを読むと、人生そう捨てたものではないと思えてきて、みんな少し元気が出るだろう。
うーん、やっぱり良い本やね。