prison-3プリズンホテル「冬」(徳間書店)
★★★(☆’):60点(~65点)

通勤の電車内で1日で読了。感想は「あれ? もう終わり? おかしいなあ、こんなはずじゃなかったのに・・・」でした。
あの「秋」のときの笑いもしみじみさも無く、殆ど盛り上がりらしい盛り上がりもなく終わった感じです。おなじみのメンバーも全て中途半端な描き方。

あんなにカッコ良かった仲蔵親分も自分が癌だと思いこんで元気がなく、「秋」で抜群の存在感を示した鉄砲常もマリアにどやしつけられてシュンとなってしまうし、何だか「あーあ・・・」でした。

唯一頑張ったのは「血まみれのマリア」こと救命救急センター看護婦長の阿部まりあ。「ステルベンかどうかは私が決める。ここでは私が法律よ!」と叫び、教授を張り倒す。おおーっ、凄い迫力!そんなマリアがプリズンホテルで「人別帳」こと宿帳を書くシーンは傑作でした。
  「前科・前歴」----殺人(○千人は殺した・・・)。
  「前夜の投宿先、今後の予定」----「前日」は地獄。「明日」も地獄。
そりゃ番頭ガシラ兼若頭の黒田もビビるわなあ。

登山家・武藤の登場はなかなか良かったのですが、それが今いちうまく展開されなかったのも惜しいです。
アニタが片ことの日本語で客にかける言葉は良いです。「イエ、センセイハ赤ヒゲデス」彼女の言葉に人々はどれだけ救われることか。

無口な職人だった孝之介の父がかつて富江に出した精一杯の恋文もいとよろし。

「夏」「秋」の感想で書いた「黒田の教養」は、親分の蔵書(ウンチク本)からきたものだったのですね。

学問はない。だから辞書と首っ引きで、一晩かかっても、ほんの十数ページしか読み進むことはできない。それでも心を動かされる文章に行き当たると、ノートに書き写し、暗誦する。

近年ベストセラーになった「声に出して読む~」ではないですが、勉強はこうでなくっちゃ。それで自分の言葉になっていったりするんですよね。
やっぱり、黒田がお気に入りキャラです。