シャア・アズナブルという人のことを知ってるかな? | HIRO WORLD ブログ

シャア・アズナブルという人のことを知ってるかな?

久々のガンダム会話検証シリーズ。

といっても今回のお題はZの5話「父と子と…」のラストからです。


HIRO WORLD ブログ-父と子と

(この場面、なんでずっと緑色なんだろう…)


レコア「誰のせいでもないわ。あそこは戦場だったのよ」
カミーユ「僕は父を撃とうとしたんです」
クワトロ「君が撃たなくても、いずれ誰かが撃っていたさ」
(ここまでは、親を亡くしてしまったこと、親に銃を向けてしまったことを悔やむカミーユへのなぐさめということでまともな会話ですが…ここでエマ中尉登場)

エマ「失礼します」
レ「エマ中尉。サイズは大丈夫だったみたいね」

(というレコアのセリフからして、あのグリーンの服は別にエマ用に仕立てられたものではなく既存品…?あんなノースリーブが??でもクワトロ大尉もノースリーブだし)
エ「ありがとう。現地徴用兵が希望だけれど、今は保護観察の身だから」

(意味がわからん!エマはティターンズを脱走してきたのであって現地徴用とは違うし、しかもそれを希望する??で、「保護観察の身だから」。身だから、何なのか?そもそも、服のサイズを心配したレコアへの返答になってなーい!!)

(中略)


カ「あんなの親じゃありません!あんなの」
レ「カミーユ!」
カ「いけませんか、こんなこと言って?でもね、僕は両親に親をやって欲しかったんですよ。そう言っちゃいけないんですか、子供が?父は前から愛人を作っていたし、母は父が愛人を作っていたって仕事で満足しちゃって、そんな父を見向きもしなかったんです。軍の仕事ってそんなに大切なんですか?エゥーゴだ、ティターンズだって、そんなことじゃないんです!子供が無視されちゃ堪んないんですよ」
(最初と最後の一行ずつだけならむしろわかりやすいものを、愛人がどうとか、軍が大切かとか、関係ない話ばかり出すカミーユ。両親が亡くなった混乱×背伸びしたい年頃でわけわからんことを言ってしまったと解釈しておきましょう…)

ク「良くわかる話だが」
(わかるんかい)

カ「死んだ両親のことは言うなというのですか?」
ク「そうだ。そして、次の世代の子供達のための世作りをしなくてはならない」

(「過去にとらわれず前向きになれ」という意味だとしても、世作り云々とはまた大げさな…)
カ「僕にそんな責任があるわけないでしょう?」

(そりゃそうだ)
ク「あるな」

(断言するが根拠を出せないクワトロ大尉)
カ「大尉は僕の何なんです?目の前で二度も親を殺された僕に、何かを言える権利を持つ人なんて、いやしませんよ」

(「ボクを大事にして」発言。お前なあ…)
ク「…シャア・アズナブルという人のことを知ってるかな?」

(自分のことを持ち出すのにこんな言い方しかできないところはいかにもシャアらしい、かもしれません。この一言こそが、今回この一連の流れを取り上げた理由です)
カ「尊敬してますよ。あの人は、両親の苦労を一身に背負って、ザビ家を倒そうとした人ですから。でも、組織に一人で対抗しようとして敗れた、馬鹿な人です」
(「いきなり何の話ですか!?」とか言わずに、相手の話にのってしまうカミーユ)

ク「正確な評論だな。が、その言葉からすると、その人の言うことなら聞けそうだな」
(セイラに「父の本当の望みをゆがめて受け止めて」と言われてたシャアが「両親の苦労を一身に背負って」たとはちょっと考えにくい。だいたい、ジオン・ダイクンの奥さんのことは劇中でまったく語られない。また「組織」とは?「敗れた」って誰に??…と考えていくと、全然正確じゃないと思います。「その人の言うことなら聞けそう」なのは、「尊敬している」の一言だけが根拠?バカ呼ばわりされても???)

レ「クワトロ大尉」
カ「会えるわけないでしょ」
ク「その人は、カミーユ君の立場とよく似ている。彼は個人的な感情を吐き出すことが、事態を突破する上で一番重要なことではないのかと感じたのだ」

(えー全然違うと思う…確かにシャアは最初は親の敵を討つためにザビ家へ接近したものの、戦いの中で人類全体へ視野が広がってしまって、「ニュータイプがニュータイプとして生まれ出る世を作りたいだけ」になってしまったはずなのに)
カ「聞けませんね、僕にとってはエゥーゴもティターンズも関係ないって言ったでしょう?大人同士の都合の中で死んでいった馬鹿な両親です。でもね、僕にとっては親だったんですよ!」

(結局、文脈的にシャアのセリフとつながらないことを言って部屋を飛び出すカミーユ)

レ「あんなことを持ち出して説得するなんて、上手じゃありませんね。
ク「そうだな。俗人は、ついつい自分はこういう人を知っていると言いたくなってしまう嫌な癖があるのさ」


(引用ここまで)



放送当時はわけがわからなくても、当時の富野監督くらいの年齢になって見直すとあらためてその意味がわかったりする…かと思ったんですがやっぱりわけがわからない(´・ω・`)

なんか小難しくてかみあってないセリフぶつけあって、当然話が通じないのに「大人の会話」をやってるつもりになっている…シャアとカミーユが、ではなくて製作者が、です。でもこの回の脚本にはカントクも関わっていて、若いスタッフによる「ボクの考えたかっこいいガンダム」とはちょっと違うはずなんですが。


ひとつだけ気になるのは、クワトロ大尉がシャアであることがアーガマ内で暗黙の了解でありシャア本人もその前提なのか、みんなわかってるけどシャアだけバレてないつもりなのか、本気で誰もわかってないのか、という点です。そこをどう捉えるかによってこの場面の解釈も違ってきます。



この場面、劇場版では絵は全面的に、セリフも趣旨は保ちながらも言葉は大半変更されていて、シャアの名前はエマの口から出てきます。やっぱりシャアが自分で言うのは変だと思ったんでしょうねえ…その他カミーユの心情、エマから見たティターンズの事情、シャアの過去、それぞれ自然な説明になっています。

HIRO WORLD ブログ-劇場版の場合

この劇場版では、レコアだけでなくエマさえもクワトロ=シャアと理解していて、シャア本人もそれをわかっているような受け答えに見えますが…真相はいかに?