中国武術の影響を受け発展してきた空手は、佐久川 寛賀を祖とするなら約200年の歴史です。
空手から派生したテコンドーは約60年の歴史ですか

約500年の伝統をもつ、立ち技最強とも呼ばれている格闘技があります。
タイの国技、ムエタイです。
日本の柔道や韓国のテコンドーのように、タイではムエタイのオリンピック種目化を国策にしているそうです。

ムエタイは、インド伝統武術のカラリパヤット(「カラリ」とは道場、「パヤット」とは戦いと言う意味)が伝わって形成されたといわれています。

また、身を護る手段として中国武術を学んだ原タイ民族(タイ民族は中国大陸から長い年月をかけて移動してきたようです)が、外敵との戦いを経て、その技術を洗練させていった説もあります。

他にも、タイにはタイ相撲という民族固有の闘技があり、ムエタイの原型になっているというものもあります。

日本で言うと、相撲から柔術・柔道への流れのようなものかもしれません

ちなみに、松濤館流から派生したテコンドーも、起源を朝鮮半島の古武術テッキョン(托肩)やスバクに求める時期もありました。
ただこれは、韓国の伝統武術として普及させるためだったようです

古式ムエタイは軍事教練の科目の1つに採用されていました
約180年前に編纂されたムエタイの教則本によると、喉をつかむ・肘関節を極める・担ぎ上げて投げ落す戦場格闘技としての技術が集約されています

当時から肘打ちと膝蹴りが重要な武器でしたが、隙・予備動作が大きい回し蹴りは使用されていなかったようです

また、ミャンマーのラウェイ(ビルマ拳法)のようにグローブは着用されませんでした。
ラウェイは、ムエタイに頭突きをプラスし、縄を巻いた拳で行われ、判定がなくKO勝ちしか認められないのが特徴です。
タイでは「ムアイカートチュアック(素手に紐(チュアック)を巻く(カート)1対1の格闘(ムアイ)という意味)」と呼ばれています。
タイでも時折この形式の試合が行われるようです。
古式ムエタイは、木綿か麻や皮の紐を巻いていたようですが、現在のラウェイはバンデージを使用します

古式ムエタイは、時代と共に競技としてのムエタイ変貌を遂げていきます

1921年、第一次世界大戦への参戦のために武器を購入する必要ができました。その資金捻出のために国王がサナーム・スアン・クラーブ(バラの庭園)でムエタイのトーナメントを開催しました。このトーナメントはスポーツとしてのムエタイの発祥となる大会です。

1929年、拳の保護のためにそれまで使われていた木綿のひもがグローブに改められます。

1936年、国名がシャムからタイへ。以降ムエタイの名称ができました。

1955年、競技ルール(投げ技、関節技を禁止、体重制、ラウンド制)ができました。

そして、タイ国技として厚い選手層を有し、女子ムエタイやアマチュアムエタイも行われるなどリングスポーツとして発展しています。

競技としてのムエタイは約90年の歴史です。
しかし、戦場格闘術である古式ムエタイを洗練してきた約500年の重みがある格闘技です。