飛騨美濃の深山に覚(サトリ)と呼ばれる妖怪が棲んでいると言われています。
真っ黒くて、長い毛をした大きな猿のような姿をしています

そして、覚には人の心を読み取る能力があります。
人の考えていることをたちまちに見抜き、予知してしまいます

基本的には危害を加えないことが多いですが、地域によっては人の心を読んで隙あらば喰ってしまおうとする覚もいます

樵(きこり)と覚にこんな話があります。

樵が山小屋で火を焚いていると、凶悪な覚が現れました
よりによって、樵の心を読んで隙を窺って喰ってしまおうとしていました

ところが樵が囲炉裏の火に薪をくべたとき、偶然、破片か火の粉が飛んで覚にぶつかりました

覚はびっくりして逃げていきました。
思うことより、思わぬことの方が怖い
その時覚が言った言葉です。

この他にもいろいろ樵と覚の話は伝わっています。

襲われる人間や場所、逃げる際のさとりの言葉などが若干異なりますが、さとりに関する伝承は山の人間が襲われるものの、その時に取った無意識な行動、偶然によって覚が撃退される、というある程度一定の型があります。

覚も無心の心までは読み取ることができなかったと伝えたいのでしょう。
日常で、他人の目や評価を気にして行動しているうちは、社会に棲んでいる恐ろしい覚に襲われてしまいます

そう言えば刃牙が北海道でガイアと対戦した際、無意識の反撃で窮地を凌いたシーンもありました

刃牙が長年(と言っても、当時はまだ少年でしたが)の鍛錬で体に覚えさせてきた行動は、意識レベルを超えた反応でした。

ガイアにも予測できない攻撃です
刃牙の過酷な練習は、刃牙を裏切りませんでした

実際、闘争中に無心の境地は難しいです。
しかし、無意識に行動に出せるまで、身体に技を覚えさせることは可能です

汗を流して練り続けた技は裏切らないと信じて、これからも練習に励んでいきます