人は、便利になるほど

「本来のもの」を

削ってしまうのかもしれません。


音楽も同じです。

ノイズを消し、揺れを整え、

完成度という名の正しさへと近づけていく。


けれど私は、

その過程で失われていくものが

あまりにも多いと感じてきました。


声は、本来、

誰かを説得するための道具ではなく、

誰かに寄り添うための“存在”です。


松山千春さんの「生命」は、

生きることを声高に叫ぶ歌ではありません。

むしろ、眠る子の寝顔を見つめながら

静かに祈るような歌です。


だから今回は、

技術を一切使わないという選択をしました。


うまく聞こえるかどうかではなく、

生きて聞こえるかどうか。


整っているかどうかではなく、

そこに人がいるかどうか。


未編集一発録りという形で残したこの声は、

完成品ではありません。

しかし、嘘はありません。


もしこの歌が、

誰かの心の奥にそっと触れたなら、

それは技術ではなく、

生命が生命に触れた瞬間なのだと思います。




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