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広島県民藝協会会員のブログ

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初めての民藝夏期学校。柳宗悦の信頼が厚かった相馬貞三氏が会長だった青森という土地柄もあるのだろうか、招聘講師の秀逸さに驚嘆。 

ここでは中見真理先生の講演「柳宗悦 時代と思想」を紹介する。

先生の柳論は、どのようにして柳宗悦が「民藝」に至ったのか、その驚異的で膨大な思索の過程を体系的に示すもので、夏期学校常連参加者からも感激の声を多く聞いた。

土地土地の風土が育み、民衆が何万回も繰り返す作業の「無心」の境地にこそ、日本独自の文化がある。

梅の花は桜の花をそしることはない。それぞれが相互に補完し合う自然界を理想とする「複合の美」、それが「民藝」だったのだ。

「複合の美」の思想が、現代にも通じるバランス感覚ある国際社会観を、柳に確立させたことに驚く。

異質な者から学ぶ姿勢は「寛容」ではなく「貪欲」であるという指摘も私を喜ばせた。「寛容」は傲慢な視座。まさに柳の活動は「貪欲」であった。

曾田会長の案内による八甲田山の早朝散策の後、私は中見先生と朝食をご一緒する幸運に恵まれた。なぜ柳は、テレビもインターネットも無い時代にあれだけの活動ができたのか、先生にお尋ねした。

「白樺です」先生の答えにハッとした。柳には、壮大な思想だけでなく、若い日に白樺の活動を通じて体得した、思想を確実に具現化していくための「手法」があったのだ。

こぎん作りの体験学習からは、一つ一つの織り目を縫い取る「無心」の偉大さにほんの少し触れる喜びを得た。 東北の厳しい冬の夜、女たちは乏しい灯りの下でこぎん作りにどんな思いでいそしんでいたのか。縫い目をとりながら、遠い日に思いをはせた。


 中見氏はそもそも国際平和の研究者。 平和が画一、統一、同質の中にあるのではなく、多様性の中にあることを、探求されていくなかで、柳の思想に出会われたという。

東日本大震災以降、近現代社会のパラダイムが問われている今、思想家柳宗悦が改めて見直されるべきだと、青森の地で痛感した。