![]() | 恐怖の谷 (新潮文庫) 529円 Amazon |
ホームズ作品では読者が手玉に取られるケースがほとんどですが、本作はその最たるものだと思いました。
2部構成になっていて、1部はいつも通りのホームズが活躍する殺人事件。
序盤から犯罪のナポレオン・モリアティ教授の名前が出てきて、ホームズとの前面的な対決が見られると思いましたが、違いました。
前回の感想でも書きましたが、意表を突いた変装トリックというのが、特徴の一つなのですが、今回のは違う角度からそれが来ました。
2部は1部の事件の背景となった過去の話で、ロンドンではなく、アメリカの「恐怖の谷」と呼ばれる炭鉱での反社会勢力を中心とした話です。
序盤はワトスンさんの言う通り、1部の事件とは関連の無さそうなものでしたが、最後はきっちり繋げてくれるんだなと、最後の最後まで引っ張るけど、締めはきっちりやってくれるのだなと思いました。
もちろん事件としては別個のものなのですが、事件の本質が共通していたのは偶然ではないと、これも最後まで気付かされませんでした。
「視界の広いということが、この職業には必要な要素の一つですよ。」
とホームズが警官に対して言っているのですが、視野を横に広げただけでは、不十分で縦、斜めにも広げて、あらゆる可能性を拡大に拡大して考えなければ、ホームズの足元にも及ばないです。










