……久しぶりに山小屋へ帰ってきた。
幼稚園職員だった頃は、一応コンスタントに家に帰れることもあった。
事務職&other だったけれど早朝から幼稚園バスの運転手もしていたので、夜遅くなると片道一時間の山小屋へ帰るのもつらくて車中泊だったり、雪で山道が通行不能になると雪の中また車中泊していたけれど、まだ帰れていた。
そこを辞してアルバイト人生となると、仕事先が他県になるということもあり、「今日は静岡、明日は滋賀、次いで愛知」……ということになると、とても毎日山小屋には帰れず、現場から現場を渡り歩く路上生活者みたいなことが今でも多々ある。
地元近在の仕事をしている合間に他県までいくようなことになると、現場から自宅近くの現場に来ては、家にも寄らずまた現場。よくて季節が変われば着替えだけ交換してまた出掛けるってことを続けていた。
まさに「住んでいる(というか荷物しか置いてない程度だが)のに暮らせてない」……のをなんとかしなければなぁ……と思った矢先、急にそんな流れから解放されたのだ。
……で、久しぶりに山小屋に帰ってあらためて室内を一望すると、なんと片付いてないことか!
片付けるような気持ちの余裕がなかったから、「とりあえず……とりあえず」 を繰り返しているうちに、家の中は爆撃あとのような、足の踏み場もないような事態に陥っていた。
毎週末にイベント仕事はあってその準備などの作業はあるものの、自宅での時間があることはありがたい。
時間的な余裕があると、まだ「ちょっとくらい片付けよう」という気持ちになれるのだ。
明るいうちにドラスティックに片付けたり、家具などの配置を変えたり、大々的に行った。
家主が不在のときは、自然界の掟で推移するのが山奥の常である。
袋に入れてあった食材は野鼠に食い荒らされていた。
まだ無事な食材やら乾物は、全部ガラス瓶に移し替えて並べることにした。
そのために、そのサイズにちょうどいい棚まで作ってみた。
ちょっと山小屋の別荘っぽくなるかも?
物を動かすと、そのスキマに眠っていたカメムシが随所で見受けられた。
彼らはもう冬眠準備の時期なのだなぁ。
少しでも暖かい家の中に入り込んでは朦朧としていた。
この大掃除と模様替えで、「出て行け」とばかりに、彼らをまとめて叩き起こしちゃったのだ。
得てして、戦争とは無意識に既得権と思ったことを行使するところにある。
夜になると、手痛い逆襲を受けるハメになるのであった……(つづく)