7月29日
彼がこの街ににいる。彼が関わっている仕事には、彼のほかにもう一人、同じ会社から派遣されていた。泊り込みで仕事があるときにはウィークリーマンションで同僚と寝泊りするという。私が彼と初めて会った日は、彼が初めてに派遣された日で、その同僚はまだ派遣されていなかったらしい。
なので、せっかく彼がこの街に来ていても、同僚が一緒だからということで、彼の部屋に行くことも会うこともままならない日が続いていた。
29日、彼は夕方まで仕事をした後、大阪に帰るということだった。その前に、会いたいとメールをしてきた。
彼は、癒してもらいたい、とか、おっきなお風呂のあるとこにいく?なんてメールしてきていたけど、その反面、「今小遣いが少ないからなぁ・・・」って言ったりもしていた。ラブホってことになると、お金かかかる。私はある程度のお金を自由にすることはできるけど、ホテルに行ったら行ったで、支払いをどうするのかって問題がある・・・・払っちゃうと、なんだかうまく利用されているみたいで、いやな感じ・・・だけど家にあげるリスクを考えると、お金でそれが回避できるなら、安いものなのかな・・・いずれにしても、都合のいい女であることには変わりないだろう。
それはわかっているけど・・・・会いたい。そう思うバカな自分をどうすることもできなかった。
仕事を終えた彼が私の家にやってきた。車に乗り込んで、近くのラブホに向かう。部屋に入った後、彼はベッドに横になり、私はソファーに座った。
彼は連日の勤務でとても疲れているようだった。眠い眠いってそればかり言ってた。だから、エッチなんかしなくても、少しここで仮眠でも取れればいいなって思ったから、あえて彼のそばにはよらないようにしていた。彼は、こっちにおいでよって私に言ったけど、私は行かなかった。
「あー、腰痛い・・・マッサージしてくれへん?癒してくれるっていったやん」
彼は寝転んだまま言った。そういえばそうだった・・・彼の疲れが少しでも取れればいいな、そんな思いで、ベッドに行った。そして、うつ伏せになっている彼の背中、腰、首、彼のしてほしいというとおりにマッサージしていった。彼は気持ちよさそうに、じっとマッサージを受けていた。彼の疲れが少しでも取れれば・・・そんな思いでマッサージをがんばっていた。
「ありがと、もうええよ、楽になったわ」
彼はそういってマッサージを中断して、くるりと体を翻し、私を抱きしめた。
「だめだって、寝たほうがいいよ」
「ええよ、マッサージしてもらって、楽になったから」
「だけと大阪帰るんだし、運転長いし、疲れるよ」
「ええんやって・・・」
ベッドの上で、彼が私を押し倒し、唇をふさいだ。
私の両腕をつかんで押さえて抵抗できないようにして、キスの雨を降らせた。
私の腕を押さえつけている彼の腕の力が、抵抗できないよう自由を奪われた事が、余計になぜか、私を昂ぶらせた・・・・
キスだけで、もう私は十分に彼を受け入れられる体になっていた。自分でも、潤んでくるのがわかった。そのことに恥ずかしさを覚えながらも、言いようのない快感に酔いしれていた。
彼は最初に会った時、私の乳首をほめてくれたんだっけ・・・彼は執拗に私の乳首を愛撫していたから、その快感に声を上げながら頭のどこかでそのことがふと頭をよぎっていた。彼が私の乳首を口に含むたび、私は声を止めることができなかった。
彼が私の目を見ながら、「ここがいいの?それとも、中?」そういって、潤っている部分に手を伸ばした・・・・・私の体はびくんと反応して、また声が漏れた。
彼は私を一気に高みに押し上げた後に、ちゃんとゴムをつけてから、私の中にゆっくり入ってきた・・・・それから何度も何度も、高みに押し上げられて・・・・・・
7月21日
彼の会社は大阪にある。仕事の関係で、本社から地方に短期間の単身赴任や、日帰りでのヘルプなど、慌しい毎日らしい。今回はたまたま岡山に来ているときに、こうして私と出会った。でも彼の仕事も生活も、すべてのベースは大阪なのだ。
今日彼は、大阪に一旦帰るという。たまたま私は休み・・・・彼は大阪に帰る前に会おうか、と言ってくれた。
あれから会えない日が続き、あの日のことがまるで嘘みたいに感じていた私には、嬉しい反面、本当に現実なのかと言うようなおぼつかない想いもあった。
話の流れで、彼は家に来ることになった。家にあげることに抵抗もあったけれど・・・一旦仕事に出た旦那が途中で家に帰ってくることなんて絶対にない。私は彼からの申し出を承諾して、家に来てもらうことになった。
私の家に、スーツ姿の彼がやってきた。
もう半分顔も忘れていた。
だけど一目見て、そうだ、このやさしい瞳と、笑顔・・・・あの日のまんまだ、そう感じてた。
しばらく座って普通に話をしてた。他愛もない話だった。いつもの家の風景なのに、そこに彼がいる・・・・不思議な感覚。こんなこと、しちゃいけないのに。ここは、私と旦那の家なのに・・・・・
ふと彼が何気無く立ち上がり、座っていた私を後ろから抱えるようにして座った・・・・あの日、初めて出会った日に、彼のアパートで彼が私にそうしたように。びっくりして、また、体がこわばった・・・
「なに緊張してんの」笑いながら彼が言う。
「緊張するよっ!だってまだ会うの2回目じゃん・・・・」
彼は動揺している私を面白がるように、ぎゅっと抱きしめた。そして、また、耳から、ほほ、首筋へと、彼の唇は自由に私の体の上を這っていく・・・・私は、声をあげるのを自分でもどうすることも出来ずに、彼の唇に身を任せるしかなかった。
「いや・・・・」そんな言葉は、彼にとっては意味がないようにも思えた。彼の唇が、私の唇に重なったとき・・・・たどり着く場所はひとつしかなかった。薄暗くなっていく部屋の中で、私たちは・・・・・
7月17日
翌日・・・・昼過ぎに目覚めた私は・・・・
昨日の出来事が本当だと信じられないような気持ちでぼんやりしていた。カレの唇、私を抱きしめた手、顔をうずめたときに感じた胸・・・・
それは確かに、本当だった。だけど、夢のようにも思えた。何度も何度も頭でリピート・・・余計に頭がぼーっとして、ふわふわしているような気分になった。
そういえばカレ、昼から仕事だって言ってたっけ・・・ちゃんと起きれたのだろうか?
心配になって、メールしてみた。もうこれっきり、って思ってるかもしれないから、返事なんてこないかもしれないな・・・
そんな思いでカレにメール。ちゃんとおきてる?って。
しばらくして、カレからメールが来た。昼からって言ってたのに、朝9時から仕事してるって。昨日はすごかったね、だって。かわいかったよ、だって。
昨日のことは、もう忘れてってメールしたけど、無理やで、いいやんか!って・・・かわいくてきれいな乳首してたよ、こらえきれない声もかわいかったよ、だって・・・・読むだけで顔がかあっと赤くなるのを感じた。かわいい乳首だなんていわれたことないし(笑)あんまりにもオープンな内容のメールで驚いたけど、なぜかいやらしい感じを全く受けなかったのが不思議だった。
それからしばらく、メールだけが行き交う日が続いた。お互い忙しいというのもあったし、まるでかけひきのようなメールが続き、会えないまま。もう顔も忘れちゃいそう・・・そんな風にぼんやり思ってた。あのときのことも、全部が夢みたいで・・・・
7月16日・その3
何度も唇を重ねながら、頭の中ではどこか冷静な私がいた。初めて会ったのに、とか、この人ならいいや、とか・・・・まるでドラマのようなシチュエーションが、余計に私を大胆にしているところもあったと思う。
唇を重ねながら、カレの手は私の胸に伸び、服の上から、そしてそのうち胸元から直に・・・というように、どんどんとエスカレートしていった。嫌・・・と口ではいいながら、本気で抵抗していない私がいた。
後ろから私を抱きしめていたカレが、私をゆっくり布団の上に倒した。目と目が合って、そしてまたキスをして・・・
あのね、今日会って、いい人だなぁと思ったの。
楽しかったし、あの後すごく仕事もがんばれた。
仕事の後遊ぼうってメール見て、ドキドキして。
もうあれっきりになるかもってどっかで思ってたから・・・
だからまた会えると思ったら嬉しくて、仕事まで楽しく感じて。
ああもう、何をいいたいのかわかんないよ。
私がそう話す間、カレは手を止めて聞いていたけれど、私が最後に結局は何が言いたかったのかわかんなくなってたのを見て、くすくすと笑いだした。
もー、何で笑うのー!?なんか変なこといった?!
いやいや、そんなことないって。かわいいなぁと思ってん。
うそだぁ、絶対に思ってないよ。
そんなことないって・・・・
そういいながらなし崩し的に、またカレの手が動き出した。
気づいたら、私はもう何も身に着けていなくて、カレの腕の中にすっぽりと抱きしめられていた。
結局その夜は、そこまでどまりで、私たちが結ばれることはなかった。
だけど、初対面のこの日、私たちは、急速に近づいた。
7月16日・その2
電話しながらカレのアパートを見つけた。外まで出てきてくれていた。お風呂にも入って、ラフなジャージ姿だった。
よくあるウィークリーマンション。単身で生活するには不自由ない、家電も完備のコンパクトな部屋。一週間前に来たばかりというカレの部屋は、なんにもない部屋だった。
カレの座ってる向かいに腰を下ろす。テーブルの上には、空いた缶ビールがひとつ。カレの目は少し赤く、ちょっと酔ってる風だった。私は部屋の中をあちこち見て回っては、すごいねーを繰り返した。気恥ずかしくて、それをごまかそうとして。
「もう遅い時間だし、5分したら帰るね」
「なんで?もう帰るの?」
「いやいや、だって眠そうじゃん」
「んなことないって、目、覚めたよ」
「いやいや、お酒も入ってるし、眠くなってきたっしょ。寝たほうがいいよ」
「そんなことないって。もう酒抜けとるって。目も赤ないって」
そんな会話を繰り返しながら横目で見ていたテレビでは、本上まなみと玉置宏が出ている、ショートムービーのような、全体的に青白い背景のドラマが流れていて、ゆっくりゆっくり二人が重なるシーンが見えた。
やばいよね、この流れ。まるっきり、そうなっちゃうよ。
そう思って私は、カレの目からそのシーンを逸らそうと思ってわざと、「いやいやほんとに目が赤いよ、鏡で見てごらんってー」ってカレをけしかけた。
カレは「えー、ほんまー?んなことないやろ」と言って席を立って、私の後方にある鏡の前に歩いていき、覗き込んでいたみたいだった。私はその姿を目で追わずに、テレビの方だけ向いていた。シーンは変わっていた。
「んなことないやんかー」と言うカレの声を背中越しに聞きながら、「赤いってー」ってカレのほうも見ずに答えていた私。
背中越しにカレが突然、私を抱きしめた。
「え!?なんでなんで!?どうして!?どしたの!?」必死になって、彼に尋ねる私。ドキドキしてた。びっくりして、動揺してた。カレは無言で私を抱きしめ続けた。そして、床に敷いてあった布団の上に私を抱えて移動して、その上に座った。カレはすっぽり私を抱きしめていて、質問にも答えないで黙っていた。
「やっぱ、初対面なのに部屋まで上がりこんだから、OKって言ってるみたいに思うよね、ごめん」
「酔っ払ってるから、だよね?」
「寂しかったから、誰でもいいって感じなんだよね?」
「でも初対面でこんなってマズくない?軽すぎない?」
何度も何度もたずねたけど、「違うよ。酔ってへん」とか「なんでそんな言い方すんの」って言うだけで、後ろから私を抱きしめたままのカレ。「いちゃいちゃしたかってん」って言いながら、少しずつ、その唇が、私の首筋や、耳元や、頬に触れる・・・・・
だめだ、だめだ。誰でもいいってだけなのに。わかってる。
でも、嫌じゃなかった。どこかで期待もしてた。抱きしめられたまま、恐る恐る、顔をカレの方に向けたら、カレの唇が近づいた。ゆっくり、カレの唇が重なってきた。
もういいや。それだけの関係でも、ここで終わっても。子供じゃないから。その場限りでも、癒して癒されるなら。重なった唇に答えながらそう思っていた。
7月16日
前日のチャットで、携帯のアドレスを交換してた私たち。結局会うのか、って思いはあまりなかった。話してて、なんとなくそう感じてた。会ってもいいやって。結局私が軽いだけだったのかもしんない。
その翌日、私は午後から仕事、彼は休みだった。お昼でも一緒にどう?って話になって、アドレスを交換した。待ち合わせ場所にお互いについて、そして会った。
第一印象は、あまり覚えていない。ちゃんとまともに見れなかったというのもあるけど、とにかくさらりとした人だなというか、生理的に何もかもをすんなり受け入れられてしまう人だったから。初対面とは思えないような、昔から知ってる人のような。だからあまり、特別な第一印象を持たなかった。
ご飯を食べながら、いろんな話をした。冗談で、もうこれが最後になるねーなんて話してた。
なんでよ、なんて彼は言ってた。私は茶化して、そう思ってるのわかるもん、って笑っていった。
なんでそんな言い方するん、そんなことないやん、と彼は言った。
仕事に行く時間が近づいて、私たちは別れた。さらりとバイバイして。またね、とは言わなかった。
職場についてから、「楽しかった、ありがとう」って、社交辞令のお手本のようなメールを彼に送った。そして仕事に入って、休憩時間に携帯を見ると、彼から返事が来ていた。
「今日はいろんな話ができて楽しかった。全然嫌とかじゃないから。しんどくなければ、仕事終わってからまた遊びたいな」
びっくりした。でも、うれしかった。遅くなってもいいなら、遊びたいって返事をしている自分がいた。
彼からの返事は、「アパートに遊びに来る?」だった。
わかってる、わかってる。そういうパターンっての。でも、やだって思わなかった。むしろ、また会いたいって思ってたから、仕事が終わってから、カレのアパートに車を走らせてた。
7月15日
たまたまつないでたメッセ。
突然のPM。いつものことだけど、うざい。
まずはプロフを見てみる。年、住んでるとこ、既婚か独身か。
それ次第で、暇なときは返事を返すときもあるけど、たいていは無視。
その日きたPMの相手のプロフ。年齢はおんなじ。住所は大阪。A型。既婚かどうかは無回答・・・これは既婚の可能性が高いな。
そんなことを思いながらみてた。
でも大阪なら、私のすんでるとこから遠いから、ちょっとくらいチャットしたところで会うなんてこともないだろうから、いっかな・・・
おなじ県の人とはチャットしないって決めている。絶対、会おうよってなるから。ウザくて仕方ない。結局やりたいだけってのがみえみえだから、絶対に返事しないって決めてる。でもそのときはそうじゃなかったから、いっかなって、そんな軽い気持ちだった。
チャットって、文字だけだけど、でもしゃべってたら人柄って言うか、そういうのが伝わってくる気がする。だいたいの感じはつかめるっていうか。そのときも、彼と話してて、なんとなくだけどいい人だなって思った。楽しかったし、画面の向こうに、なんとなくあったかいものを感じてた。
お互いのパートナーの話、そしてお決まりのエッチの話(笑) なんの抵抗もなく、普通にいろんなことを話してた。
よくよく話を聞いてたら、彼は仕事で私の住むこの街に来ているということだった。今建築中のとあるビルにかかわっているとか。完成まで約3ヶ月、彼はこの街にいるということらしい。
彼の本社は大阪。でも地方に単身赴任という形でヘルプに行くことが多いらしい。博多、名古屋などなど。私の住む街来たのは初めてということだった。毎日朝早くから遅くまで仕事で、赴任先でもゆっくり遊んだり友達を作ったりする暇もなくて、チャットもほとんどしないという彼。私にPMを投げてきたのは、本当に本当にたまたまだったらしい。
そんな二人の偶然が重なって、私たちは始まった。
