瞬き一つ出来ずにいる俺は、決して辛いとか苦しいわけではなかった。 何故なら涙一つ流れる事もなく、目でそこの光景を見ているほかは、音が耳に流れ込んでくるだけだ。 あれからどれだけの時が流れたのだろう? 俺は何故ここにいるのだろう?
「まずいぞ! とうとう17号が自我を持ってしまった。 他の被験体への影響が・・・ うわ!!」
前に聞いた人の声がする・・・ 何かあったのだろうか?
「完全に広まる前に処置せねば、他の階にまで影響が及ぶ事になるぞ! とにかく全階層に連絡を入れ、被験体保護を優先し対処するように伝えろ!!」
聞いたことのない人の声が、大声で叫んでる。 しばらくすると俺が見ている光景が歪みながら暗闇へと消えた・・・
「ようこそ!! 君は今日からこのルームの被験体となり、活躍してもらう事になる。 しかしこれだけ適合率の高い者は初めてだ。 期待してるよ」
え!? このおっさん、何言ってんだ。 大体、ここはどこなんだよ。
「はい。 ご期待に答えられるよう、誠心誠意お仕えします」
何言ってんだよ、俺!! こんな分けわかんねえ奴に、何でお仕えしなきゃならねえんだ!?
また暗闇だ・・・ 今度は何だ!? 何が俺に起きているんだ。
しかしこれは・・・ 俺の声しかない闇だ。 他には何も存在しない。
それも徐々に聞こえなくなってきた。
どこかで女性の歌声が聞こえる。 俺はそこへと導かれながら、近づいていった。
「知らず知らず今日という日を、歩んでいたはずなのに
遠い未来になっているなんて、信じたくない・・・ 忘れてしまいたい・・・
壊れてしまいさえすれば、きっと元に戻れるはずさ
大っキライなアイツも 愛こがれた大切な人も
きっと、きっと、元に戻る
だから、お願い神様 願いを聞き入れて欲しい
永く生きるなんていらないから、この臆病者を救って
願いはいつも聞き届けられずに どこかへ流れ消えるのだろうけど
願わずにはいられない この身が砕け散る事になろうとも
時はいつも不条理で 壊れることを望むのだろうけど
こんな、こんな、運命を 皆に与えないで 苦しませないで
だから、お願い神様 願いを聞き入れて欲しい
永く生きるなんていらないから、この臆病者を救って
臆病者を救って」
たどり着いた俺は、彼女の歌を黙って聞いていた。
つづくー(´pゝω・)ニャオ