毛利甚八さんに初めてお会いしたのは、司法試験に合格した直後ぐらいだったと思う。ある弁護士さんが主催していた少年事件の勉強会の講師に招かれていた毛利さんに対し、「法務教官出身の司法試験合格者」として、少年院について話をしたのが最初だった。

 毛利さんは、「家栽の人」を書いた後、少年司法に関心を持ち続け、法務省の審議会の委員や少年院の篤志面接委員になるなどして、世の中に知られていない少年院や少年司法の実態をわかりやすく発信し続けてくれた。

 今年10月に発刊された「『家栽の人』から君への遺言」に毛利さんが末期ガンになられていることが書かれていたが、訃報に接し、もっといろいろ話したいことがあったのに、とお見舞いに行かなかったことを後悔している。謹んでご冥福をお祈りします。