被疑者として勾留された場合の不服申立手続として「準抗告」という手続きがある。逮捕のあと交流されてしまうと、原則10日間、延長されると最長20日間、警察署の留置場に拘束されて取調べを受けることになるので、仕事に行けずにクビになるなどの不利益が大きいし、そもそも逮捕、勾留手続に違法な点がなかったか、逮捕、勾留を許可した裁判官とは別の裁判官に改めて審査してもらう必要がある場合もある。そのための手続が準抗告である。
以前の事務所で先輩の弁護士と共同で受任した刑事事件で準抗告が認められたことはあったが、独立してから初めて準抗告が認められ、しかも認められた理由が逮捕手続の違法という珍しいものであったので、簡単に紹介したいと思う。
午後11時ごろに職務質問を受けた被疑者は、午前0時ごろに緊急逮捕され、警察署に留置された。緊急逮捕の後には直ちに逮捕状を請求しなければならないが、警察官の逮捕状請求が却下されたため、被疑者は午前6時30分ごろに釈放された。しかし、被疑者は警察官に様々な理由を言われ留め置かれ、事実上の逮捕状態が続いた。被疑者は、食事や飲料を取らせてほしい、弁護士に連絡したい、家に帰してほしい、などと訴えたが、いずれも警察官は認めなかった。その間に警察官が再度逮捕状の請求を行い、発付された逮捕状により、午前9時すぎに再び逮捕された。
この事案について、私の準抗告を受けた裁判所は、職務質問を開始してから、釈放されるまで7時間以上経過しており、緊急逮捕による身体拘束が深夜の時間帯であったことを考慮すれば、釈放後直ちに被疑者の身体拘束を解くことを優先すべきであるのに、そのごも約2時間半以上にも渡り、被疑者の要求を受け入れずに身体拘束を続けたことは、逮捕手続の違法であり、違法の逮捕手続を前提とした勾留請求は却下されなければならない、と判断した。
警察官に悪意がなくともミスをすることは、あり得ることであり、そのミスを事後的にではあれキチンと指摘できて、被疑者を違法な身体拘束から解放できたのはよかったと思う。