有機化学 〜Sn1反応〜 | 薬と化学と

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今日はSn1反応です。こちらは1次反応のため"1"となってます。

脱離基(この場合はBr)が抜けたあと、プロトン性溶媒(以下、溶媒)が反応し水を使った場合はアルコール、エタノールを使った場合はエーテルが生成します。
ただハロゲン化アルキルは水等に溶解性が悪いためケトンなどを一緒に入れるようです。

反応ですが、脱離基が抜けると立体が平面構造になり、空のp軌道が直交して出てきます。
ここに電子対をもった性溶媒が反応します。

よく教科書ではどちらの面からも同じ確率で溶媒が反応する。
なんて記載がありますが少し違います。抜けた脱離基のイオン。これが反応の邪魔をします。
つまり脱離基のある面では溶媒の反応が阻害されてしまうため、逆の面の方が少し優位になります。(本当に少しですけどねw)


で、この反応のキモですが、脱離基が抜けることです。
3級炭素は脱離基が抜けてカチオンとなった場合でも比較的安定に存在することが出来るため、脱離基が抜けるという他の級の炭素では考えられないことが起こります。
ではなぜ3級炭素のカチオンは安定なのか?

超共役

が原因になってます。



超共役とは、σ結合(C-H)と空のp軌道(C+)が相互作用を起こしエネルギー的に安定かすることです。ただこの分子の炭素原子は自由回転しているため常にこの効果は得られません。軌道が重なったときのみ超共役の恩恵が得られます。1、2級では効果は薄いですが、3級ともなれば9個のσ結合と超共役が可能になりますので、炭素のカチオンが生成するのに必要な安定かが得られるというわけです。
分軌道法でも記述してみましたが、Sn2よりは簡単そうです。

試験ではそれなりに出てくる反応ですが、実際に使ったことはありません。カチオンを経由する反応ですから副反応が押さえきれないのでしょう。

次回は脱離反応をやっていきます。これも分子軌道法で考えると非常に厄介そうですが。。