9月7日(土)に船橋アリーナにて関東大学秋季リーグ戦が開幕した。船橋アリーナは今年度の集大成として行われる全日本インカレの準決勝、決勝が行われる体育館でもある。

 最初の2日間を終えて、全勝中のチームは中央大学、早稲田大学、筑波大学、順天堂大学、明治大学の5チームに。春季リーグや東日本インカレでの上位が、前評判通りの強さで勝利している。

 そんな関東大学リーグでの注目の選手をピックアップしていく。

 まずは今季2冠中の中央だ。サイドからの攻撃力の高さは今大会でも光っている。8日に行われた駒澤大学戦の4セット目途中には、東山高校出身の尾藤大輝が梅本春之助に代わり出場していた。中央はbick(back row quick の略)といわれるパイプ攻撃のバックアタックのテンポが春よりも速くなっていて、チームの中心であるキャプテン柿崎晃とエース舛本颯真のバックアタックに注目してほしい。



中央大学の舛本颯真と柿崎晃[写真]

 次に早稲田だが、この2日間では駒澤との戦で1セットを落とすものの、パリ2024オリンピックにも出場した甲斐率いる専修大学にもストレートで勝利し、安定した強さがある。チームの中心は、世代No.1の呼び声が高いセッターの前田凌吾だ。試合中、スパイカーに思い切り打たせるトスや、対ブロックを意識しながらしっかりとした攻撃の組み立てができる、才能溢れた選手である。強気なツーアタックで自身でも得点を決めたり、劣勢の場面でも冷静にトス回しを続け、チームの2連勝に貢献した。また、名門早稲田でキャプテンを務めるリーダーシップもあり、試合をコントロールする力はピカイチである。



早稲田大学の前田凌吾[写真]

 次に紹介したいのは、東海大学のリベロの南口辰揮だ。初戦は専修に1-3で敗れたものの、8日の試合では法政大学にフルセットの末、勝利を掴んだ。今年の東海はよく拾いよく守る、粘り強いバレーが持ち味だ。その中心にいるのが清風高校出身のリベロの南口だ。春季リーグ戦ではサーブレシーブ成功率2位という結果を残している。守備範囲が広い上に、返球したボールの質も良く、リズムの良いパスがセッターに供給される。また瞬時の判断と位置取りが器用な選手であり、それがディグや守備範囲の広さに繋がっている。これからの試合でも南口の活躍に期待がかかる。

東海大学のリベロの南口辰揮 [写真]

 そして、順天堂も力をつけてきている今年注目のチームだ。スパイカーの能力が非常に高いチームであり、それを引き出しているのが仙台商高出身のセッター早坂奏之介である。春季リーグに比べるとトスの精度の向上はもちろんのこと、強気なトス回しが目立った。8日の日本体育大学戦では、3セット目中盤に2本ミドルの攻撃を使用したのだが、1本目は拾われて切り返され、2本目は被ブロックを許してしまった。筆者が「次どこに上げるだろう」と見ていると、続けてもう一本ミドルのAクイックを使い、サイドアウトを取ったのである。普通なら別の攻撃の選択肢を取りたくなる場面であるが、強気に3連続ミドルを使う早坂のトス回しは見事だった。春季リーグ終盤頃から、相手のブロックを見る余裕が出来、トス回しに変化が出てきた。攻撃力の高い順天堂のスパイカーを操る早坂に、ますます注目がかかる。

順天堂大学の早坂奏之介 [写真]

 最後に日体大のキャプテン一条太嘉丸だ。春季リーグ戦では思うような結果が出せずに苦しんだが、覚悟を決めたのか、試合中には大きな声を出してチームを鼓舞する姿もあり、安定したサーブレシーブと、細かい繋ぎやディグなどの守備力が非常に高い選手だ。冷静にブロックに当ててリバウンドを取ったり、キャプテンとして思いの溢れるスパイクを打つ姿がとても印象的だ。また審判に笑顔で、かつ、しっかりと抗議に行く姿もあり、そんなギャップにも目が離せない。

日本体育大学の一条太嘉丸 [写真]

 今週末は順天堂大学さくらキャンパス第3体育館で試合が行われる。各大学、ピックアップした選手を中心に、今後も期待される試合が続く。

■秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦第2週試合予定 会場:順天堂大学さくらキャンパス第3体育館

【14日(土)】
Aコート
第1試合 早稲田vs法政大
第2試合 中央大vs専修大
第3試合 明治大vs駒澤大

Bコート
第1試合 筑波大vs国士舘
第2試合 東海大vs日体大
第3試合 順天堂vs日本大

【15日(日)】
Aコート
第1試合 中央大vs法政大
第2試合 順天堂vs国士館
第3試合 東海大vs日本大

Bコート
第1試合 早稲田vs日体大
第2試合 明治大vs専修大
第3試合 筑波大vs駒澤大