バカユノが、肝試しをしようなんて言い出した。

あいつは本当にバカだ。なぜキャンプで何十年も前の定番コースを思いつく?まあいい、なら女子と組み合わせが当然だろう。ところがユノはアホだから、男子は男子、女子は女子の健全コースを選択した。くじ引きだよ〜なんて準備した箱を手にして。


[ジェジュンから引いて]

なぜか一番先に引かされる俺、 あ・・。

[俺じゃん!ジェジュン安心しろ、俺が守ってやる]

何で俺が、ユノと肝試しに行かなくちゃいけないんだよ!


男子と女子が交互に出発する。キャンプ場の裏は林になっていて、しかも奥には墓場があるという絶好のシチュエーション。ここでも疑問はある。なぜ、キャンプ場の裏に墓場?狙いだよね、オーナーが肝試しをワンセットで用意したキャンプ場、バカユノも乗っかったんだと思う。単純なやつだから。


[ジェジュン、行こう!]

最後に出発の俺達、先に入って行ったみんなの姿は見えない。正直、少しだけビビっている。そもそも幽霊とか好きなタイプではない。出来れば目のパッチリした白い肌の女子がいい。明るくて健康的で、めっちゃ可愛い子。幽霊は確かに色は白いけど、明るくないし、どちらかといえば暗い。だから苦手なんだよ。


[ジェジュン] 

[ひえっ!]

バカユノが急に呼ぶから、飛び上がってしまう。

[大丈夫だよ、俺がいるから。ジェジュンって本当に可愛いな]

モジモジしながら手を差し出すユノ。男となんか手を繋ぎたくないけど、こんな場所では仕方ない。ポリシーに反して、その手を握る。

[ひょっ・・]

今度変な声を出したのはユノ。手を握っただけなのにビビるなんて、俺より怖がりじゃん。ったく!


カサカサと歩くたびに変な音がする。

キャンプ場の足場が悪いのか、それともオーナーの策略か、とにかく怖さを倍増する演出が施されているようだ。

[ぎゃっ!]

墓場に行く手前に現れた標識が、手に持ったライトに反応して青白く光る。【墓場まで30m】

余計なお世話だよっ!つい叫びたくなる俺。

[平気だよ]

ユノがカッコよく思えてきた。いつもはダサ眼鏡の優等生なのに、こんな時は男らしくなる。ヤバくない?

[さあ、一番奥の目印を取って戻ろう]

間違いなくここまで来た証拠に、墓場の一番奥にリボンを用意してある。みんな一本ずつ取って戻るのがルール。俺達も何とかそこまで辿り着いた。


[へっ?]

リボンがない。そこにあるべき最後のリボンが見つからなくて、俺達は焦る。せっかくここまで来たのに、それがないと証明できない。あちらこちらを見渡すけど、真っ暗な墓場では探しようがない。

[ジェジュン、諦めて帰ろう]

そう言うユノに、俺は断固反対する。 

[せっかくここまで来たのに、弱虫だと思われるじゃないか。どこかに落ちてるから見つけて帰ろう]


暗闇で見つかるはずがない。何ならリボンを縛り付けていた木を背負って帰るか?なんて馬鹿なことさえ考えてしまう。

[あっ!]

ユノの声に振り向くと、蛍光カラーのリボンが見えた。そこから少し離れた場所だ。風で飛んだのか?

取りに行こうと思っていると、リボンがゆらゆらと動いているのに気づく。え・・?ビタッと止まったと思えば、急に動き出す。固まる俺達は、リアル肝試しに直面している事に気づく。

[あれ・・何?]

ビビりながらユノに聞くと、返事がない。

[ユノ?]

ユノは失神していた・・。


リボンを追いかけるべきか悩んだけど、この大男を何とかするのが先決だ。

[ユノ!おいっ、起きろってば!!]

その頬を叩いてもピクリともしない。マジかよ・・困ったな、どうしようかと考えていると、あの蛍光リボンが近づいて来るのが見えた。ヒィッ・・もはや硬直する身体を動かす事さえ出来ない。

リボンが近くまで来てピタッと止まる。思わず目を閉じると、リボンが俺の頬をさわさわとくすぐる。

こんな恐怖は初めてだ、何ならモレそうだし・・。


意を決して目を開けると、小さな女の子がそこにいた。ニコニコのその子の髪には蛍光リボンがついている。目をパチパチさせて確認するけど、その子はとても可愛い顔で笑っていた。

[リ・リボン欲しかったの・・?]

ビビりながら聞くと、こくんと頷く。何だか切なくて、俺も微笑み返す。

[いいよ、あげる]

俺の言葉に、また嬉しそうな笑顔を見せる女の子。そして、スキップしながら遠ざかって行く。蛍光リボンだけが、リズムに合わせて浮き上がって見えた。


ユノを抱えて墓場を出た。

キャンプ場まであと少しという所で目を覚まし、慌てて俺の背中から飛び降りる。

[お・俺!?]

あたふたするユノに、俺は答える。

[寝てた。準備で疲れてたんじゃない?]

[うっそ!ごめん、ジェジュン!俺、守れなかったんだね?うわあ〜本当にごめん!!]

いや、守るどころか失神してたしね・・。


俺達とユノだけがミッションを達成できなかった。罰ゲームは、テントの外で寝ること。

星空が綺麗な夜は、それさえも罰ではなさそうだ。

[ジェジュン、寒くない?]

[少し寒いかな]

自分のブランケットを俺にかけて、平気?って尋ねるような顔をするユノ。

[ふたりで入ろう]

2枚のブランケットを重ねて、ふたりでくっついて眠る。星が降り注ぐような空を眺めながら。


カサカサと音がして横を見ると、あの蛍光リボンが揺れてるような気がした・・✨




おはようございます✨

今日はホラーになっていますか?(^o^;


ラッキーフェスは今日ですか?行けないのであえてスルーしていますが、楽しんでくださいね\(^o^)/

それから大雨の地域の皆さん、気をつけてくださいね。


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥