ジェジュンがいなくなった事で、本気だと思った。それと同時に、待つだけの自分ではいられないとの決意も強くなる。ジェジュンだけを危険な場所に置くことは出来ない。オトリが必要だ。実は初めから決めていた、ジェジュンと同時に俺もアクセスする事を。そうすれば敵の視線を撹乱できる。俺がオトリになる、そうする事でジェジュンがスムーズに仕事ができるはずだ。


慎重に進めなければならい。アクセスすれば、どんなに複雑なルートを通っても、いずれは嗅ぎつけられてしまう。パソコンは中古店で足がつかないものを購入した。Wi-Fiが繋がる場所を転々としながら、遊びのアクセスを繰り返す。ギリギリまで進んでは次の場所へ移動する。そんな無駄なように思われる作業を繰り返しながらチャンスを待った。相手のセキュリティはかなり厳しくて、少しでも核心に触れると反応する。何度も場所を変えなくてはいけないのは、そのせいでもある。驚くほど遠くの地方に行ってみたり、時々は都会に戻ったり・・それでもなかなか入れずにいた。パスワードそのものが本物かどうかを見極める必要もあったから。


夜になると、やっぱりユノを思い出す。

足がつかないように連絡は絶ったし、携帯も変えた。本格的に仕事に入るには、身辺を無にする必要がある。俺がユノと繋がっていれば相手はすぐに気づいてしまう。ユノにも俺の連絡先は、すべて削除するように頼んでおいた。


[ふう〜]

ため息の理由は言うまでもない。あの夜の熱い唇を忘れられないから。こんな風に出会わなかったら、俺達は普通に愛し合えたのだろうか?いや、きっとこれが宿命だったのだと思う。俺が天才ハッカーであり、ユノが警察である事が。神様が何を意図して俺達を選んだのかは分からない。それでも逆らうつもりはない。俺達なりの正義の貫き方は、誰も知らない場所でだけ行われる。命の保証もない無意味な戦いは、いつかきっと誰かの為になると信じて。


[ユノ・・]

名前を呼ぶぐらいは許されるよね?

この仕事が無事に終わって、もし俺が生きていたなら会いに行くつもりだ。何もかも終わった後で、重い鎧も脱ぎ捨てて会いに行く。

その時は抱きしめてくれるかな?大きく腕を広げて迎えてくれる?

【ジェジュン】俺の名を呼びながら・・。


心臓がバクバクする。

素人の俺がこのパスワードを使えば、すぐに身元はバレるだろう。いや、むしろそれが狙いだ。俺が敵を欺いているうちに、ジェジュンが本丸を攻撃する。タイミング?そんなのは言うまでもない、俺はジェジュンの腕を信じている。異常があればすぐに解るはず、チャンスは見逃さない天才だ・・だろう?


初めは気づかなかった。ジェジュンはIT企業に勤める、パソコンに詳しい人だと言うぐらいに思っていた。けど、その手の動きやちょっとした操作でピンと来た。もしかしたら、ジェジュンはハッカーなのではないかと。今世間で騒がれている悪徳業者を潰す天才ハッカー・・いや、そうでなくともそれに近い天才なのではと。自分ではまだ判断しかねている。でも、この仕事を共に引き受けてくれると言った時、ジェジュンしかいないと思えた。天才ハッカーだからではなく、心から信頼できると信じたから。 


恋する気持ちは人を盲目にする。そんなリスクも知っている。あえて同じ道を歩いてみたいと思った。危険な目に遭わせる不安は言葉にできないぐらいにある、けど今はジェジュンしかいない。仕事だけでなく、心さえも共に出来る人が。

ジェジュンを危険に晒す前に俺が命を懸ける。俺を犯人だと思わせ時間を稼いでいる間に、全てを終わらせてくれるだろう。もしかしたら、もう会えないかもしれない。伝えておくべきだったかな?

【ジェジュンを愛している】と・・。


[ふう〜]

二度目のため息の後、俺はパソコンを開いた。

仲間が、命と引き換えに手に入れてくれたパスワードを打ち込む。


もう戻れない場所に、俺は今・・立っていた。





おはようございます✨

みなさんの優しい言葉を胸に、へなちょこ韓国ドラマ風を継続しております(^o^;

頑張ります!ありがとうございます\(^o^)/


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠/⁠*☆✨♥