[やっぱり、仕事していたの?]
ジェジュンに隠れて、警察仲間に電話していたのに気づかれたらしい。そんなに簡単に内部へアクセス出来るのか疑問だったし、いくらIT企業勤務でもジェジュンのパソコン技術は相当だと思われた。
[うん、現況だけ確認しようと思ってさ。でも進んでなかったよ]
心の中は迷っている、ジェジュンを信じていいのかを。
[絶対に出てこないと思うよ、警察の管理部がコントロールしているなら出るわけがない]
[セキュリティを突破するのは、そんなに難しいの?]
俺は卑怯だ、こんなやり方で探ろうとするなんて。
[その為に俺達は日々開発してるからね。自分で作ったセキュティでさえ入れないよ。どんなに優秀なハッカーでも無理なエリアがある]
[そうなのか?]
[俺みたいな凡人なら尚更ね]
どこかでホッとする。やはりジェジュンは仕事上でパソコンを操るだけで、ディープな所までは関わっていないらしい。少しでも疑った自分を怒りたくなる。
[ジェジュン]
[うん]
[休暇は限られている、残りの時間をめいいっぱい楽しもう]
[ふふっ、だね]
ジェジュン特製の弁当を持ってハイキングをしたり、近くの川で釣りをしたり、とにかく仕事を忘れる時間を過ごした。こうしていると、この方が人間らしい生活だと思う。悪と戦うなんてヒーローに任せればいい、俺は特別な人間ではない。こんな、穏やかな日々を過ごす選択をするのもいいかもしれない。
[まさか本当に釣れるとは思わなかったよ]
ジェジュンが、料理した魚を前に楽しそうに笑う。水のきれいな川にいる魚は不思議と生臭くない。水草を食べているのか、その身さえ上品な味がする。
[シンプルに塩焼きにしてみた]
こうして見ると、ジェジュンは新婚の奥さんみたいに初々しい。最近勉強したという料理はシェフみたいに完璧だし、何しろ手際がいい。持ってきたというエプロンもよく似合うし、こんなお嫁さんがいたら幸せだろうと本気で考えてしまう。
[美味しい!]
[でしょ?この前買ってきたハムも焼いてみたよ]
何日か前に、地元のハム工房に行ってきた。手作りハムはそのままでも美味しそうだったけど、厚切りにして焼くと旨さが倍増しそうだ。
[ジェジュンみたいな人と結婚したい]
つい漏れた言葉に、ジェジュンの目が点になる。俺は慌てて自分のセリフをフォローする。
[いや、料理は上手だし掃除洗濯も完璧だろ?それに可愛いし・・女子よりジェジュンだろ?]
フォローになったか?むしろ墓穴的な気もする。
ポッと頬を染めて、小さな声で応える。
[ありがとう・・]
食べたい・・目の前の美味そうな料理よりも、むしろジェジュンを食べたいと思う俺は異常か?
[冷める前に食べよう?]
急いで話を変えるジェジュンに俺も従う、このままだと危ない雰囲気になりそうだ。俺がね・・。
最後の夜、お気に入りのベランダで二人並んで星空を眺めている。小さなテーブルの上には地元のワイン、辛口でなかなか美味しい。
[宇宙は広いのに、人は小さな利益のために必死になるんだね]
ジェジュンの言いたいことは解る。正義の象徴であるべき警察内部で起きている何かは、愚かさの最たるものだ。無限の宇宙の中で求めるちっぽけな利が、人の心を壊していくなんて。
[愚かさに気づける人間は幸せかもな]
[確かに]
田舎の夜空に星は眩しいほどに輝いているけど、それも夜にしか見えない奇跡のひとつかもしれない。
[ユノ、人の幸せってなんだと思う?]
ジェジュンと知り合えて良かったと思う。こんな質問を素直に投げかける、真っ直ぐな心に安堵する。
[それは人それぞれかな・・俺は今だけど]
首を傾げて俺を見るジェジュンは、いつもに増して愛らしい。
[今?ユノの幸せは今なの?]
確認されると照れる。正直、これ以上の幸せを感じたことがない。毎日仕事に追われて、それが当たり前だと思っていた。心から安らぐ場所があると教えてくれたのは・・君だよ。
[ジェジュンは?]
答える代わりに聞いてみる。ジェジュンは今をどう思うのか。
少し考えてから、ジェジュンは答えた。
[何もかも忘れてユノと生きていけたら、夢を見るように幸せだと思う]
何かを抱えているのだと思った。俺が考えるより重い何かを。
ジェジュンの手を握る。
[見られる夢があるのは、やっぱり幸せなんだと思うよ]
きっと、夢の続きを見ていたのだと思う。
ユノの顔が近づいて来た時、なんの違和感もなかった。それは当たり前の仕草のように、ごく自然な事だったと思う。
ユノの唇は、想像以上に熱かった・・。
おはようございます✨
夢を見られるうちが幸せ💖かも(^o^;
九州の皆さん、雨大丈夫ですか!?特に鹿児島が大変そうですが、気を付けてください!
これから梅雨を前に、備えをしないと!と思っています。私も気をつけます。
今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*/*☆✨♥
雨、気をつけてくださいね。本当に!