明らかに放火だった。なのに送られてきた報告書を見ると、通行人のタバコの火の不始末と結論付けられ、追跡不可能の事故で片付けらていた。事件ではなく事故だと。


俺としては想定内だったが、ジェジュンは納得できなかったようだ。パソコン貸してくれる?そう言うと慣れた手つきでキーボードを打ち始める。それは昔観た映画のガンマンみたいな早撃ち?いや早打ちで、俺の目は点になる。

[ふ〜ん、なるほどね]

ジェジュンが独り言を呟く。

[調査してないみたいだね、上からの指示かな?とにかく1日で終了しているから、大した現場検証もなかったみたい]

[そうなのか?]

って、何で警察内部の情報が分かるんだ!?

[ユノ、残念だけど、この組織に正義はなさそうだよ。こうして見ると、分かりやすいほど上からの指示通りに動いてるみたいだ。小さな事件は、ほとんど無視している。何なら手を付けていない案件も相当ありそうだよ]

驚いてパソコンを覗く。ジェジュンが開いているのは警察の調査履歴、なぜここに入れる?

[あのね、警察って肝心なところが甘いんだよ。俺達みたいなプログラミングをしている人間なら簡単に入れる。もちろん常識があるから普段は入ったりしない、けどこの事件を事故で処理する危険性は入るに値する緊急事態でしょ?]

返す言葉に戸惑っている、警察組織の情報がこんなに簡単に見られるなんて・・まさか、そんな事が?いや、けど日常的には入らないと言っている、今回は俺の為に侵入してくれたんだろう。自分の危険も顧みず。ここは素直に感謝するべきだ。

[ちょっと見せてくれ]

まったくジェジュンの言う通りだった。必死に助けを求めている市民の声を無視する資料ばかり、逆に上級国民とやらの小さな案件は必要以上に調べている。無駄な時間をかけて・・これが俺の在籍している正義であるべき警察の本質なのか!?いや、俺の知っている仲間たちは、いつも市民のために必死に働いている。きっとこうしている今もなお。腐っているのは一部の警察だけのはず、許せない・・何が起きているんだ?


[ユノ、残念ながら警察の上層部は汚染されてるみたいだね]

俺なりのヒントを出しているつもり。あまり余計な事を言うと俺の素性がバレてしまう。さりげなく、何も知らないフリで伝えておこう。

[知らなかった・・]

[俺も驚いたよ、警察はユノみたいに正義感に溢れた人ばかりだと思っていた]

[俺の周りの人間は、みな誰かの助けになりたいと願っているはずだ。それは間違いない]

[うん、俺もそう思うよ。警察は市民を犯罪から守るヒーローだよ]

[そうあるべきなのに・・]

ユノのショックは計り知れない。信じて力を注いできた場所だ。まさか荒廃しているなんて想いもしなかっただろう。ましてや今追っている悪徳利権業者が、警察管理部と繋がっているんなんて知ったらどう思うだろう?


[ジェジュン、力を貸してくれるか?本気で調べなくてはいけない。このままでは大変な事になる気がする]

ここに来て仕事の話はしないつもりだった。けど、結局俺達はそこに行き着いてしまう。逃れられない運命のように。

[もちろんだよ、そう約束したでしょう?俺達は一緒に調査をする、すべての悪をこの世から無くすために]

[ジェジュンを巻き込んですまない]

[俺の仕事が役に立つなら本望だよ]

最後の秘密は明かさない、それだけはユノに知られてはならない。警察組織の闇を追求する為にユノと協力をする。けど、もし俺のしている事がバレたら?その時は姿を消すつもりだ。二度とユノとは会わない、それが二人のためだから。


【ユノさん、警察組織の内部情報はそんなに簡単にアクセス出来ませんよ。俺だって何度もドアを開いていかないと入れません、もし外部で入れるとしたら相当のプロです】


ジェジュンを疑ったわけじゃない、ただ警察組織の情報網がそんなに緩いのか調べたかっただけ。けど、その言葉はあまりにも衝撃だった。相当のプロ・・それが何を意味しているのか、警察に勤める俺になら解る。


ジェジュンは特別な人間・・なら、何を調べている?なぜ、俺の傍にいるんだ?


疑心暗鬼の雨が降り注ぐように、全身が冷たい感情に包まれていた・・。





おはようございます✨

ユノ、未熟ですよ。おっ?信じるべき人を見失う事こそ、危険なことはないです(✽ ゚д゚ ✽)

ちゃんと目を開けて、今を見ないと!


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥