穏やかな時間の中にいると、今まで何をしていたのかさえ忘れてしまう。

鳥の声で目覚め、新鮮な空気をお腹いっぱいに吸い込むと都会の生活の無意味さを感じてしまう。

【夢を見ていたい】ユノの台詞にドキッとしたけど、それは手を繋いで眠るという事だったらしい。小学生かよっ・・どこかで期待した俺がバカだった。


[ユノ、朝食の用意ができたよ}

いつものベランダに迎えに行くけど、そこに姿はなくて寝室に行ってみる。ドアを開けるとベッドに座ったユノがいた。神妙な顔で携帯を見ている。 

[何かあった?]

俺はパソコンを置いてきた、今回は現実逃避の旅行だから仕事はしないと決めていたから。けど、ユノはそうはいかないらしい。いつ連絡が入るか分からないから、携帯だけは手放せないと言っていた。

[借りていた倉庫が火事になった]

え・・?

[誰もいなしい火の気もない場所だ、警告だろう]

幸いにも見せかけの仮住まいには重要な物は置いていない、こんな事もあろうかと俺もユノに助言していた。そこに住んでいると思わせるのが重要だと。思った通り、敵は何も無い倉庫を襲撃した。多分調べの甘い手下の仕業だろう。

[留守の倉庫が燃えた事で、警察も慎重に調べている。もしかしたら、捜査を撹乱させる為の作られた事件の可能性もある]

[大切なものは何もなかったの?]

念の為に確認する。

[ひとつだけあった]

[何?]

[お気に入りのスヌーピーのトレーナーだ。期間限定ショップで買った、唯一の俺のお気に入りが焼けた]

てか、そこなの?その青ざめた顔の理由は!?

[そんなのネットで買えるよ、ユノが無事だった事のほうが大事でしょ?]

ようやく顔を上げる。

[ジェジュン・・}

いや、そんなにスヌーピーファンだったのかよ!

[ネットで探してあげるから]

[うん・・]


それにしても、ユノは完全に狙われている。今後はあからさまに動くことは出来ないだろう。

焼き立てのトーストにバターを乗せて、新鮮な野菜サラダと共にバリバリ音を立てて食べているユノ。火事のショックは、さほどないらしい。

[目玉焼きに、ソースかける?]

何気ない俺の一言にユノが反応する。

[ソース?]

[うん、塩コショウはしてあるけど、やっぱりソースも必要でしょ?]

[ジェジュン]

[はい]

[目玉焼きには醤油だ]

そっちかい!


[俺は引いたふりをして、調べようと思う]

出来ればここでは仕事の話はしたくなかった。けど相手が動いた以上、仕方がない。

[もう手を引いたと思わせた方が調べやすい]

[確かに]

[その分、ジェジュンに負担をかけるかもしれないけど・・危ないと思ったら止めてもいい。これは元々俺の仕事だ、素人のジェジュンを巻き込むのは間違っている]

素人だと思われるのが大事な所。

[あのねユノ、素人こそ底力ってのがあると思うよ。プロは見逃しがちな所が見えてくる]

[そうなのか?]

[だから・・パスワードを俺に預けてくれない?とことん調べてみるよ]

家事よりも衝撃的な顔で、フォークを持ったまま固まる。

[無理だ、仲間がどうなったかジェジュンも知っているだろう?絶対に教えない。それだけは無理だ]

ダイレクトに言ってみたけど、やっぱり難しいかな。

[仲間のためにも真相を追求したくない?]

[それは・・]

[ふたりでやろう?俺達になら出来るよ]

少しだけ考えたユノが、コーヒーのカップを手に取る。


[無理だ]


ユノは、なかなかの頑固者らしかった・・。




おはようございます✨

突然の週刊誌表紙!?いきなり過ぎて右往左往しています。買いたい!コンビニ?ありますか、まだ?

帰りに寄ってみます💖


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥