ユノは毎日食堂に来るようになった。

年が近い俺達は何となく気が合って、店の手伝いをしながら色々話をする時間が増えた。


[刑事なの!?全然見えないね] 

正直驚いた。いつもシワシワのシャツを着て寝癖を付けているユノが、正義の為に働く仕事をしているなんて。それに少しは動揺する。警察に内通者はいるとしても、その筋の人と関わるのは危険だ。出来れば関係は持たないほうがいい。けどユノは好感の持てる男で、なぜか心を開いてしまいそうになる。

[ジェジュンは?まさか食堂だけじゃないだろう?]

[IT系だから自宅で出来る仕事なんだ。やることやれば時間はあるから、時々ばあちゃんの手伝いをしている。ご飯を食べさせてもらっているお礼にね]

[なるほど、俺はパソコンとか全然ダメでさ。今度教えてよ、今扱ってる事件もそっち系でさ]

あっ!という顔をする。守秘義務があるのは、どの仕事でも同じだ。

[そうなの?]

[あ、うん・・ジェジュンだから教えるけど、今世間で騒がれているハッカーの事件]

ドンピシャかよ・・ユノがその捜査の一員とか、運命のいたずらにも程がある。けど俺も捕まらない自信はある。セキュリティは万全だ、例え追いかけても俺には辿り着けない。天才だと謳われるには理由があるって事。

[大変だね]

余計な事は言わない、それも大切なルール。

[けど俺は、あながち間違ってはいないと思う。悪いやつを倒すのは法律だけでは出来ない時もある。正当がどうかなんて問題じゃない、悪をなくすためには方法なんてどうでもいい]

俺がユノに好感を持てる最大の理由はここにある。人一倍正義感が強くて、悪を許さないと言う信念がある。その点では共通している。違うのは立場が真逆だと言うことだけ。 

[俺達、いい友達なれそうだな]

ユノの言葉に頷く。友達になれるのか、それとも敵になるのか今は分からない。けど、どこか通じるものがある。それは確かだ。


休みの日も会うようになった。

ユノは不規則な生活をしているらしく、休みも定期ではない。俺のようにフレックスな仕事をしている人間じゃないと付き合いも難しそうだ。

ユノの誘いで釣りをしたり、たまには俺の意向で映画を観に行ったり、特に絶対的な理由があって会うわけではなく、同じ年頃の男同士、息をつける場所的な関係だと思う。実際、俺は友達がいなかった。天才なんて言われてきたせいか、周りにはいつも大人ばかりがいて、同じ年の子達と遊ぶ機会はほぼなかった。ユノはちゃんとした学生生活を過ごして来たようだけど、今の仕事に就いてからは孤独だったと聞く。俺達は必然として巡り合ったのかもしれない。お互いがどこかで孤独を抱えている。確固たる意志を持ちながらも感じる不安を持て余して。


[ジェジュンと出会えて良かったよ]


休日は、あえて仕事を忘れるような場所に行く。今日は美術館に来ている。理解不能な絵を見ては変顔で悩むユノを見て吹き出す俺と、それに戸惑いますます変な顔になるユノ。静かな美術館で笑いを堪えるのが辛くて、外に出てから大笑いをする。

ケラケラ笑う俺を見て、ユノがそんな事を呟く。


[どうして?]

困ったなって顔で考える。

[ん〜何となく、そう思った]

[何となくって]

[だよな]

そう言って、また二人で笑う。

そして俺も思う。こんな風に笑ったのは、いつぶりだろう?小さな頃は、よく笑う子だったと母さんは言っていた。いつもニコニコしていて、誘拐されないか心配になるほどだったって。それが、いつからか笑わなくなった。天才だと持て囃されて、俺は違う自分になってきた。この才能を生かす為に存在するのだと。


ユノといると素になれる。

自分がどんな人間かなんて考える必要もなくて、ただ今を楽しんでいればいい。素直に笑い、言葉を選ぶ必要もない。ずっと封印してきた自分をさらけ出せる感覚。 


[俺もユノと出会えて良かった]

心からそう思う。

[本当に?]

[うん]

ユノの黒髪がサラサラと流れる。スッキリとした整った顔は、ちゃんと決めれば相当カッコいい。多分ね。


[じゃあさ、こんな事を言ったら引くかな]

[ふっ・想定外の事なら引くかもね]


[ジェジュンが好きだ]


想定外どころか、それを遥かに超えた言葉だった。恋愛感情を忘れていたというか、知らない俺にとって、好きは未知の台詞。


[やっぱり引いた?]

ユノがまた困ったように聞く。


前を向いたまま答えを探す俺の頬を、爽やかな風が撫でるのを感じながら、口角が上がるのを感じていた・・✨




おはようございます✨

展開が見えないんですよ、おっ?

サイコな韓国ドラマを観て勉強しないと!頑張れ\(^o^)/


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥