俺は片思いをしている。

いや、そっちではない!が、何でだろう?何となく惹かれてしまった。あの優等生の委員長ユノに。


[明日の朝、資料運びを手伝ってくれない?]

委員長は、なぜか俺にだけ頼む。他にも手伝ってくれそうな人はいるのに、特に女子とかね。なのに真っ直ぐに俺の所に来て、お願いをする。その度に俺の心臓は爆発しそうになって、クールを装うのに苦労している。

ユノはカッコいい。それは100人中100人が認めるだろう。キリッとした目に小さな顔、そしてキリンみたいに背が高い。男らしいって看板を背負って歩いているみたいな人だ。しかも困った人を放っておけないタイプで、委員長にピッタリの男。俺は・・そう、昔から女の子みたいだねって言われてきた。顔もそうだけど控えめな性格は、いっぱいいる姉ちゃん達の影響で、反論すると負けると教えられたから。この顔のせいで男子からは女子扱いされることがあるけど、それはそれで受け入れている。平和主義だからね。


で、このユノだけど、いつの間にか俺の心の中に入り込んできた。そもそも俺は男兄弟がいないせいか、男子寄りの感覚が欠落していて、時々みんなを唖然とさせることがある。けど、そんな時必ずユノが現れて【ジェジュンの考え方こそ世界平和の根源だよ】なんて難しい言葉でフォローしてくれる。俺自身も他の男子と違うことは自覚している。だって姉ちゃんの数が多すぎて、女系家族の中で育ったから仕方ない。学校での唯一の理解者がユノで、それはどこか心強い存在でもあった。


[重くない?]

自分の方が多めに資料を持っているのに、俺を気遣う。

[平気だよ。ユノの方が多いじゃん]

そう言うと照れたように笑う。

[俺の方が、少しだけ身体が大きいから]

ユノは人を傷つけない。だから俺を軟弱扱いはしない。

[ねえ、何で俺なの?]

一度聞いてみたかった、必ず俺に頼む理由を。

[何となく]

困ったような顔は俺の好きなポイント。優等生ユノの弱点は嘘をつけない事。答えに困ると鼻がピクピクする。

[ユノはさ、俺が好きなの?]

これこそ無謀な大冒険、好きなのは俺なのに、反対に相手にそれを押し付ける。反応次第で自分の気持ちをコントロールしようとするズルい考えがなくもない。

廊下はそんなに長くない、ユノの答えを聞く前に教室に着いてしまいそうだ。結局、その心は見えないまま・・ふう〜片思いの続行かな。 


教室のドアの前でユノが止まるから、俺はその背中に顔をぶつけてしまう。バサバサと落ちた書類に慌ててしゃがみ込むと、ユノも自分の資料を脇に置いて集めるの手伝う。

[急に止まらないでよ]

鼻が痛いじゃないか、赤くなったかも。ユノの背中は案外逞しい。

[ごめん、考え事をしていて]

[クラスの平和な環境保全とか、そんなやつ?よく考えられるね、そんなの無理じゃん。だってみんな思春期なんだよ?平和なんてあり得ない、心の中がグチャグチャなんだから]

[ジェジュンも?]

もちろんだよ、何で俺がユノを好きになる?それだけでも、心が地球の裏側に行ってるるみたいに混乱してるよ。

[俺だって思春期ど真ん中だし]

[実は俺も混乱している]

答えは、いつも簡単に導く優等生なのに?

[毎日、苦しいほどに心が彷徨っている。答えが見つからないんだ。いけないと知っているから]

[何!?大問題でも抱えているの?]

散らばった資料を集め終え、ユノの平和的クラス運営の悩みには興味もなく適当に答えながら立ち上がる。


[さっきの答えだけど] 

さっきって何だっけ?

[俺の今、人生最大の課題だ]

いや、だから何だよ。そもそもユノは鈍感すぎる。俺が好きだって気づかない?無愛想過ぎるかな?もっと笑顔で接するべきか?いや、だけど逆に気づかれたくない。俺がユノを好きだなんて。 


[卒業までには答えを出すよ]


いや、だから何の話だよっ!

面倒だから適当に返事をしておこう。

[うん]

教室のドアを開くと、賑やかな声に吸い込まれていく。俺達の高校生活は長くはない、楽しまないとねなんて思いながら、先に下ろしたユノに書類を渡す。

そして、手が触れた瞬間、俺達は見つめ合う。

ユノが困ったように頬を染め、そして俺は慌てて手を離す。


何となくだけど・・小さな答えを見つけた気がした✨





おはようございます✨ 

青いですね(✽ ゚д゚ ✽)

そんな感覚、今あるかな・・ん〜(^o^;) 


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥