廊下を颯爽と闊歩する。声をかけるのも躊躇うほどに胸を張って。時折きゃあ💖って女子社員の声がして、俺はチラリと視線を送る。バタッ!女子社員が失神したのを横目で見ながら、自分の魅力が恨めしいと思う・・なんて夢を見た!これは朝から気分がいい、むしろ最高の目覚めだ。
歯磨きをしながら鏡の中の自分を見つめる。ビジュアルはまあまあイケてる方だろう。スタイルだってキープしている。ジムに通っているしね、問題は社会の目が俺を出来る男と認識しないこと。仕事だってちゃんとやれてるのに、ちょっとしたコケ具合で精鋭部隊からは外されている。同僚のユノは、それがジェジュンの良いところだって笑うけど、その本人は部隊の真ん中にいるというね。【はあ〜】あの時、女子社員を庇わなかったら俺もあそこにいたのか?新しいプロジェクトの一員として・・いや、それはそれで良かったんだ。俺は親の言いつけ通り、か弱い女子を守った。【女の子は守ってあげるのよ】頭にインプットされた言葉に間違いはないと信じて。けど、その子も結婚して会社を辞めたし、もはや俺のポリシーを知る人はいない。ただの出来ない男のレッテルを貼られたまま、俺は今日も会社に向かう。
ストライプのネクタイがユノらしい。白シャツにストライプのネクタイがユノのトレードマークだ。俺はカラーシャツに猫の顔のネクタイとか、時々遊んでいる。もちろん、それなりのブランドだけどね。
[ジェジュン、おはよう!悪いけど手伝ってくれない?]
ユノは俺を助手扱いする。けど同期の俺としては、女子じゃないユノでも助けなくちゃいけないと思う。
[いいよ]
ユノが作った提案書をパコンの中で分かりやすく整理する。各人のタブレットに送れるだけの状態に閉じて、タイトルを付けて保存。ユノは斬新なアイデアを持つ男だけど、整理が苦手だ。バラバラになった書類を1つにまとめるのが俺の仕事。
[ジェジュンと俺、いいコンビだよな]
今のところ目立った活躍をしているのは、ユノだけだけど。
[はいはい、とにかくミィーティングに行かないと。遅れたら大変だから]
[うん、ありがとう!]
パソコンを手にオフィスを出ていくユノの姿は、俺が夢で見た絵の通りで・・女子社員の【きゃあ💖】って声まで合致する。チッ、あの夢はユノの事だったのか?遠ざかる夢に一抹の挫折感を味わいながら、俺は自分のパソコンを開く。今日も平凡で地味なリーマン生活は始まる。こんなにイケてる俺なのに。
[ジェジュンさんに憧れている女子は多いですよ]
[そう]
いつものユノへの賛辞かと思い、聞き流す。
[ジェジュンさんって女子より綺麗だし、それに優しいから軽々しく声かけるのが悪い気がして]
ふ〜ん・・って、俺!?
[優しい?]
[はい、いつも穏やかで、女神って言われています}
女神?
[ユノさんとは違う魅力があります]
[えっとお・・それは、君だけが思ってくれているんじゃないかな?俺は目立った仕事もしてないしね]
[ユノさんが言っていました。ジェジュンさんがいないと、自分の仕事はあり得ないって]
[そうなの?]
[そう言えば、初めに女神って言い始めたのはユノさんかもしれません。ジェジュンさんは女神みたいに優しくて綺麗だって]
[ユノが?]
[ふたりとも女子社員の憧れです]
昼休みに聞いた意外な話に戸惑っている。あのユノが俺を褒めていたなんて驚きだ。いつも鈍くさいってバカにしているのに。
[ジェジュン、さっきはありがとな。無事にプレゼン終わったよ。感触良かった]
[うん]
あの話を聞いた後だと気まずい。
[あのさ、部長に話してみたんだ。この仕事、ジェジュンと一緒にやってみたいって]
[何で俺?]
俺の問いかけに、急に顔を近づける。なかなかのイケメンが破壊力と共に俺に迫りくる。
[なあ、知らないの?]
[な・何が?}
だから近いって、顔!
[ジェジュンのまとめた資料、大好評だぜ?俺には無理なんだ、その才能はジェジュンにしかない。自分の力を知らないなんて人生の無駄遣いだ]
ポカンとする俺、そもそもユノが、俺に対してそんな風に思っていてくれたなんて驚きだ。
[本気出すタイミング、外すなよ]
3日間考えた。
そして、出勤するとすぐにユノの元へと向かう。
[ユノと一緒にやりたい]
ユノが無言でハグをする。ポンポンと背中を叩いてから小さな声で呟いた。
[俺の本気も見せてやるよ]
未熟な俺には理解不能だったけど、俺は大きく頷く。
[うん、よろしくね]
ニヤリと笑ったユノの顔が、妙に怪しかったのは気のせいだろう。
でも、ユノの本気って何だろう?
そんな疑問より、新しい自分への期待でワクワクする朝だった✨
おはようございます✨
自分を過小評価しない、けど謙虚にする!
そんな生き方をしたい!(✽ ゚д゚ ✽)
難しいですね(^o^;)
今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*/*☆✨♥