一瞬だった。宅急便の人が来て玄関のドアを開けた時、ジェジュンが外に出てしまった。慌てて追いかけたけど間に合わなくて、ジェジュンの姿はそのまま見えなくなった。

宅急便の人も一緒に捜してくれたけど、小さな子猫を見つけるのは困難だった。自分のミスでジェジュンを外に出してしまったことに呆然とする。きっと帰ってきてくれると思いつつ、大切なものをなくしたショックは大きい。


仕事をしていても落ち込む、ジェジュンのいない生活がこんなにも虚しいなんて思わなかった。まるで恋人をなくしたみたいな空虚感。それにしても、なぜ出ていってしまったんだろう?そんな事を考えながら、また落ち込む。短い間に繰り返される出会いと別れは、まるで運命のように思えて・・なら、また会えるかな?きっとどこかで。


ユノが玄関の開けた時、眩しい光が見えて反射的に外に出た。それはやっぱり天上からの光で、俺はそのまま吸い込まれてしまった。大神様の答えが出たのかもしれない、そう思いながらユノが心配するかもと不安になる。すぐに帰って来るよ、人間になって。そう信じて大神様の前に立つ。

子猫のままではユノに愛を語れない、だからどうしても人間になりたい。お願いします!そんな想いを込めて【ニャ】と鳴く。


[1年だ]

短い言葉に期待する。

[1年だけ人間にしてやろう、しかしその代償は大きい。その後、ジェジュンは存在しなくなる。すべてが消えてしまうが願いに変わりはないか?今なら撤回してもよい、これ以上の代替案はない、お前の願いを聞く代わりに代償は受け入れてもらう。これが答えだ]

その覚悟はしていた。前に聞いたことがある、神が願いをしたら、それなりの代償は必要だと。そもそも神は意思を持ってはならない、人間を導く存在だから。それを破った者はそれなりの罪を受ける。前に聞いた神は、遠い山の石ころになったらしい。そのまま永遠に変われない、意識を持ったまま石ころでい続ける地獄・・神の罪は大きい。


[ジェジュン、自分の存在が永遠に消えるんだぞ?考え直すがよい、人間にならなければ修行次第でやり直せる。チャンスはいくらでもあるんだ、その願いを諦める気はないか?]

俺が消える・・1年限定のユノとの愛の為に、存在を消す意味があるのか?

[お願いします!]

[ジェジュン]

[1年でも人間になりたいです!]

[あの者はお前を知らない、一から始めねばならぬ。それでも良いのか?1年は短いぞ]

[はい、頑張ります!]


3日間、雨の続いた朝だった。

傘を持つ人々の顔はどこか憂鬱そうで、会社に向かう足取りも重そうだ。でも、俺は知っていた。今日は良い日になりそうだと。



[おはようございます、いらっしゃいませ]


街角の小さなカフェは、クロワッサンとコーヒーが美味しい出勤途中のリーマンの癒やしの場。新規オープンしてからすぐに人気になった。


[クロワッサンとコーヒーをテイクアウトで]


ユノは、相変わらずスーツの似合うカッコいい人だった・・。




おはようございます✨

まだ出張先なので、また短めに(^o^)


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠/⁠*☆✨♥